普通解雇って何?懲戒解雇とは違うの??【社会保険労務士監修】

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目次
・「普通解雇とは」
・「普通解雇の要件と手続きについて」

・「普通解雇事由と慎重な判断
・「解雇の手順」

  1. 解雇の方針決定
  2. 解雇理由の検討
  3. 解雇通知書の作成
  4. 従業員への解雇通知
  5. 解雇後の各種手続き
  6. 他重要なステップ

「普通解雇のメリットとデメリット:雇用主と従業員の視点から見るリスクと利点」

  1. メリットについて
  2. デメリットについて

・まとめ

様々な提案をする会社員2

普通解雇は、従業員の能力不足、協調性の欠如、就業規則違反、あるいは余剰人員の整理など、様々な理由に基づいて行われる解雇手続きの一形態です。通常、企業が解雇を検討し実行する際には、何らかの理由が存在していることが一般的です。具体的な解雇理由としては、従業員の勤務成績が著しく悪い場合、経歴詐称、遅刻や欠勤の繰り返し、協調性の不足、業務命令違反などが挙げられます。

いわゆる普通解雇は、従業員の債務不履行が主な理由で、これに基づいて雇用契約が継続できない事態になった場合に行われます。これは、雇用契約の本旨に従わない労務提供が主因であり、使用者が一方的に契約を解約するものです。一方で、退職勧奨により従業員が自主的に退職する場合は解雇には当たりません。
なお、解雇の有効性が争われる際には、裁判所が解雇無効と判断した場合に労働者保護の観点から高額な支払い命令が下されることもあります。

普通解雇には労働者保護の立場から厳しい要件が課せられており、労働基準法や労働契約法などの法律が様々な法規制を行なっています。具体的な解雇手続きは、解雇理由や企業の方針、法的な規定に基づき行われ、解雇予告や解雇手当の支給などが含まれます。この一連のプロセスは、企業と従業員の双方にとって慎重に取り扱われるべき重要な法的手続きです。

整理解雇についてはこちら(会社が整理解雇って言ってるけど、普通の解雇とはどう違うの?)

懲戒解雇についてはこちら(「懲戒処分」ってよく聞くけど、結局何のこと?クビになるの??)

ここがポイント

普通解雇を有効に行うためには、以下の4つの要件を満たす必要があります。

(1)正当な解雇理由があること
(2)法律により解雇が制限される場面に該当しないこと
(3)原則として30日前に解雇予告するか、または30日分の解雇予告手当の支払いをすること
(4)従業員に普通解雇を通知すること

具体的な手続きとして、普通解雇では解雇予告が必要とされています。これは、解雇をする30日前までに、労働者に対し解雇を予告するか、30日分の解雇予告手当を支払う必要があります(労働基準法第20条)。解雇予告がない場合は、即日解雇も可能ですが、その際は30日分以上の平均賃金を支給する必要があります。

また、解雇が制限される場合に該当しないことも重要です。法令に違反する解雇、解雇制限期間中の解雇、差別的な解雇、女性の結婚や妊娠を理由とする解雇、労働者が会社の労働基準法等の違法行為を労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇などがこれに該当します。

解雇の正当性は「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が求められます。つまり、解雇理由が合理的であり、かつ社会的に相当であることが必要です。従業員の勤務成績や行動が労働契約や就業規則に基づく解雇事由に該当するかどうかが判断基準となります。

最後に、解雇が権利の濫用に当たらないこと、公序良俗に反しないこと、信義則に反しないことも確認されるべきポイントです。特に、解雇が最終手段であり、他の手段では回避できない場合であるかどうかが注視されます。

解雇は労働者にとって大きな影響を与える行為であるため、企業はこれらの要件を慎重に考慮し、法的手続きを遵守しながら行うべきです。

わからない事に疑問をもつ

普通解雇は、使用者が様々な事由で従業員との契約を一方的に終了させる手段の一つです。ただし、法的には慎重なプロセスが求められ、客観的・合理的な理由が必要です。以下は、一般的な普通解雇の事由と、解雇権の濫用を避けるための慎重な判断ポイントです。

怒られて落ち込む男性

普通解雇の主な事由

勤務成績が著しく悪い場合や能力不足、適格性の欠如など、職務遂行能力が不足している場合があります。
解雇にあたっては、使用者は必要な教育・訓練を行い、従業員の能力向上に努め、解雇前に改善の機会を提供する必要があります。

遅刻早退、無断欠勤、協調性の欠如など、勤務態度が問題となる場合があります。
状況改善が見込めない場合や、業務に与える支障が大きい場合に解雇事由として認められる可能性があります。

長期にわたり続く病気やケガにより業務遂行が難しい場合が普通解雇の対象となります。
一般的には休職制度などの解雇猶予措置が存在し、解雇前に適切な対応が必要です。

規律の違反、不正行為、業務命令の違反が解雇事由として認められることがあります。
違反や不正行為が本当にあったのか、慎重に確認する必要があります。

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企業が従業員の解雇を検討する際は、法的リスクを考慮しつつ慎重な手続きが求められます。以下は、従業員解雇のステップバイステップのガイドです。

1.解雇の方針決定
解雇を行う際には、会社全体の解雇方針を確定させることが不可欠です。普通解雇であっても不当解雇のリスクを踏まえ、上司や上層部と協議し、方針を確定させましょう。

2.解雇の方針決定
解雇を行う際には、会社全体の解雇方針を確定させることが不可欠です。普通解雇であっても不当解雇のリスクを踏まえ、上司や上層部と協議し、方針を確定させましょう。

3.解雇理由の検討
解雇方針が確定したら、具体的な解雇理由を丁寧に検討します。ヒアリングを通じて合理的な理由を裏付け、不十分な検討を避けるためように努めましょう。従業員が納得しやすい理由を見つけ、後の訴訟リスクを回避するためにも注意が必要です。
ヒアリングについて解雇事由を確認するための事情聴取は非常に重要です。訴訟リスクに備え、事情聴取の際は記録を残すことをお勧めします。

4.解雇通知書の作成
解雇理由が決まったら、解雇通知書を作成します。法的には口頭通知も可能ですが、確実性を担保するためにも解雇通知書の交付は必須です。

5.従業員への解雇通知
解雇通知は従業員に確実に届ける必要があります。面談で手渡す、郵送する、メールで通知するなど、慎重に手段を選択しましょう。配達証明のついた内容証明郵便を利用することも選択として有力なものです。

6.その他重要なステップ
・社内で解雇方針を共有する: 解雇の方針は社内で共有し、一体感を持って進めることで、解雇対象 者に対して会社全体の意思を示せます。
・予告解雇か即日解雇かを決定する: 予告解雇と即日解雇の選択は慎重に行い、解雇手当の支払いにも留意します。
・解雇の理由を整理する: 解雇の理由を従業員に明確に伝えるために整理し、メモとして準備します。
・解雇通知書を準備する: 解雇通知書には必要事項を記載し、法的要件を満たすように気を配ります。

解雇は慎重なプロセスが求められますが、法的なルールを守りつつ、従業員との円滑なコミュニケーションを心がければ、難しい決断にも対処できます。

わからない事に疑問をもつ

企業が普通解雇を検討する際には、雇用主と従業員の両者が直面するメリットとデメリットを正確に理解することが重要です。以下は、それぞれの立場から普通解雇の利点とリスクについて説明します。

メリットについて

会社側
一方的な解雇が可能: 従業員の能力不足や規律違反などの問題がある場合、普通解雇を行うことで即座に雇用契約を終了させることができます。
業務への集中: 問題のある従業員との雇用契約を終了させることで、会社は本来の業務に集中できるようになります。

従業員側
失業保険の受給が早い: 会社都合による退職なので、失業保険の特定受給資格者として扱われ、待機期間が終われば迅速に受給できます。
解雇予告手当の支給: 解雇通知がないまま解雇された場合、解雇予告手当を支給される可能性があり、即座な経済的サポートとなります。

デメリットについて

会社側
リスクが大きい: 不当解雇とされた場合、多額のバックペイ支払いや従業員の雇用継続が命じられる可能性があり、企業にとって大きな法的リスクが伴います。
解雇の手続きが複雑: 解雇の手続きや理由を誤ると、後の裁判で企業に有利な判決を得ることが難しくなります。

従業員側
再就職への足かせ: 解雇理由が転職活動に悪影響を与える可能性があり、再就職が難しくなることがあります。
裁判のコストと時間: 解雇無効を争う場合、裁判には費用と時間がかかり、生活が不安定なまま長期間続く可能性があります。

自信をもってサポートします

企業が普通解雇を検討する場合、法的リスクが大きいために十分な検討が必要です。
解雇理由の整理や社労士や弁護士のアドバイスを得ることは、法的トラブルを回避する上で不可欠です。
一方で、従業員も再就職の備えとしてスキル向上やネットワーク構築に注力し、将来に備えることが肝要です。

普通解雇は一方的な意思表示により行われるため、労働者保護の制約があります。不当解雇の訴訟が発生すれば、企業は時間と費用を負担し、解雇が無効となれば賃金支払いや社会的信用の低下といった損失が生じる可能性があります。

解雇を検討する場合であっても、社労士や弁護士への相談が先決です。その上で、解雇が本当に避けられない場合には、法的要件を満たし、かつ慎重かつ公平な手続きを心掛けるべきです。

最終的に、解雇は生活に大きな影響を及ぼすものであり、慎重な判断が求められます。会社は要件を確認し、証拠を残すことでトラブルを予防し、労働者は将来に備えるための対策を進めることが必要です。

ご相談は是非こちらからお願いいたします。

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