目次
・就業規則とは
・就業規則の閲覧は許可しなきゃいけないの?
・就業規則は自由に閲覧できるの?
・就業規則の適切な周知方法とは?
・就業規則の閲覧許可の注意点ってあるの??
・つまり従業員からの「就業規則を見せて」と言われたら
・就業規則周知義務違反時のペナルティ
・当法人からの注意点!!
就業規則とは
常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法第89条の規定により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないとされています。
就業規則を変更する場合も同様に、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。
↓詳しくはこちら↓
(就業規則がないとどうなる?就業規則の基本から作成方法まで徹底解説!あなたの会社には就業規則はありますか??【社労士監修】)
就業規則の閲覧は許可しなきゃいけないの?
就業規則の内容を確認する権利は従業員にとって法的に保護されており、企業は従業員が自由に閲覧できるようにしておかなければなりません。(許可は必要ありません!)
これを「就業規則の周知義務」といい、労働基準法によって定められています。
就業規則が従業員に周知されていない場合、その規則は無効とされる可能性があります。
従業員が自由に就業規則を閲覧できない場合、例えば解雇の理由として利用しようとしても認められないこともあるのです。
企業は就業規則の周知義務を遵守し、常に従業員が規則を把握できる状態にしておかなければなりません。就業規則は従業員と企業の間の重要な契約書であり、その内容を理解し、遵守するために閲覧できる状態にあることは法的義務です。
就業規則は自由に閲覧できるの?
就業規則は、従業員が自由に閲覧できる会社のルールブックであり、従業員はいつでも、企業の許可を得ることなく就業規則を閲覧する権利があります。
この権利は労働基準法第106条1項によって保護されており、
企業(および事業主)は従業員が就業規則を見られるようにする義務を負っています。
もし企業がこの義務を怠れば、法的な罰則が科せられる可能性があります。
また、就業規則には、業務に関する規則や社内秩序に関する事項だけでなく、労働条件や給与規程など従業員にとって重要な情報が含まれている為、従業員はこれらの条件や規程が変更されていないかを確認する権利があり、企業は変更後の規則を従業員に周知する義務があるのです。
就業規則の適切な周知方法とは?
労働者の権利を保護し、企業の責任を明確にするために、就業規則の適切な閲覧方法が重要視されます。労働基準法により、以下の三つの方法が就業規則の周知に指定されています。そこで、具体的な対応方法とともに詳しく解説します。
見やすいところに掲示や設置を行う
就業規則を社内の見やすい場所に常時掲示する方法です。
この方法は小規模の事業所向けで、コストをかけずに効果的に周知できます。
ただし、複数事業所が存在する場合や、改訂時のバージョン管理が必要となる点に注意が必要です。
書面での配布をする
就業規則を印刷して従業員に配布する方法です。
従業員全員に効果的に周知できますが、コストと時間がかかるほか、情報漏洩のリスクも考慮する必要があります。
デジタルデータで共有
就業規則をデジタルデータ化し、社内の共有フォルダや社内ウェブサイトでアクセス可能にする方法です。情報管理の容易さと改訂時の管理のしやすさがメリットですが、データの漏洩に対するセキュリティ対策が必要です。
就業規則の閲覧許可の注意点ってあるの?
雇用形態に関わらず、就業規則の閲覧を許可する!
労働基準法では、正社員・パート・アルバイトなど雇用形態に関係なく全従業員が就業規則を閲覧できるようにすることが求められています。特定の雇用形態に基づいて就業規則を制限すると、法律に違反する可能性があるため注意が必要です。
退職した社員から閲覧を要求されたら?
就業規則の周知義務は在職中の従業員に適用されるため、退職した社員からの閲覧要求には直ちに応じる必要はありません。ただし、権利関係に関する労働紛争がある場合は、関連する部分を開示する義務が生じる可能性があります。
経営者が「見せたくない」と言い出したら?
経営者が閲覧を拒否する場合、労働基準監督署に相談することが適切です。
労働基準監督署は就業規則の閲覧を求める要求に対して調査を行い、適切に対応をしてくれるでしょう。
就業規則の紛失してしまった!?
万が一就業規則が紛失した場合は、労働基準監督署に経緯を説明し、閲覧の申請を行うことができます。ただし、就業規則の管理には細心の注意が必要です。
※データとして残しておくことも大切です。
つまり従業員からの「就業規則を見せて」と言われたら
従業員からの就業規則閲覧の要求は、法的にも企業内での一般的なルールとしても、予め準備されているべきであることに留意しましょう。
労働基準法によれば、就業規則は常に従業員が閲覧可能な状態に置かれなければならず、就業規則閲覧の要求に応じるだけでなく、適切な方法で周知しておくことが重要です。
企業側はこれらの方法を駆使し、就業規則の適切な周知と管理に努めることで、労働者との信頼関係を構築し、効果的な労働環境を促進していくことが求められます。
就業規則周知義務違反時のペナルティ
労基法に違反した場合の行政指導と刑事罰
労働基準法に基づき、就業規則の周知義務を怠ると、労働基準監督官からの行政指導や刑事罰の対象となります。行政指導には「指導票の交付」と「是正勧告」の2種類があり、違反状態によって異なる対応が行われます。
また、刑事罰としては30万円以下の罰金が科されることになります。
就業規則の周知は労働基準法に則り、適切な方法で行われるべきです。違反には厳しいペナルティが課される可能性があるため、労働基準法に準拠した運用を心がけることが重要です。
当法人からの注意点!!
以上に記述した内容は、あくまで常時10人以上の従業員を使用する事業所の場合です。
10人を満たない事業所では就業規則の作成の義務はなく、そのため周知義務もありません。
しかし、「仕事中の素行が悪い問題社員を解雇したい。」「自社にとって不利益(競合他社への情報漏洩)になるような従業員の副業を制限したい。」「従業員の配置転換や異動をしたい。」「助成金が取りたい」などの企業のお悩みが就業規則を作っていなかった事で解決できない可能性が高いのです。
就業規則の作成、そして周知は企業にとって決してマイナスではありません。
企業と従業員の間に誠実な労働の義務を契約が行われた証なのです。
あなたの会社に就業規則はありますか?
お困りでしたら、是非当法人にご相談ください。
コメント