退職給付金で生活できる?失業手当を加えて何ヶ月保つか試算してみた

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退職給付金で生活できる?
退職給付金で生活できる?失業手当を加えて何ヶ月保つか試算してみた

退職給付金で生活できる?失業手当を加えて何ヶ月保つか試算してみた

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士)

退職給付金(退職金等)と雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)を合算すると、「当面の生活費を何ヶ月カバーできるのか」を大まかに把握できます。本記事では、法令上の仕組みに沿って、生活可能月数の考え方とモデルケースによる概算例を解説します。最終的な受給可否・日数・金額は、必ずハローワークの決定でご確認ください。

退職給付金と失業手当の基本的な位置づけ

まず、両制度の性格を整理します。

  • 退職給付金(退職金等):法律上の支給義務はなく、会社が任意に設けた退職金制度や中退共制度などに基づき支給されます。就業規則・退職金規程で支給条件・金額が定められているかが前提となります。
  • 雇用保険の基本手当(失業手当):退職すれば必ず受けられるものではなく、「離職前の被保険者期間」と「失業の状態」であること等の受給要件を満たした場合に限り支給されます。
重要:本記事での「失業手当」は、雇用保険法上の「基本手当」を指します。所定給付日数や給付制限の有無などの詳細は、必ず所轄ハローワークでの受給資格決定により確認してください。

生活可能月数の考え方(概算のフレーム)

生活可能月数は、ざっくりと次の式で把握できます。

生活可能月数 ≒ (退職給付金の手取り + 基本手当の総受給見込み) ÷ 毎月の生活費

ここでのポイントは次の3点です。

  1. 退職給付金の「手取り」:退職金には退職所得控除があり、税負担は通常の給与より軽くなりますが、実際に使えるのは税引後の金額です(計算は税務署・税理士等の領域となります)。
  2. 基本手当の総額:基本手当日額(賃金日額の約5〜8割。上限・下限あり)× 所定給付日数で、おおまかな総額がイメージできます。
  3. 実際の支給タイミング:基本手当は、離職後すぐに全額まとまって支払われるものではなく、受給手続き→待期7日→(必要に応じて給付制限)→4週間ごとの認定に従い分割で支給されます。

モデルケースで見る「何ヶ月保つか」のイメージ

以下は、退職給付金と基本手当を合算した場合の概算モデルです。実際の基本手当日額・所定給付日数・給付制限の有無等は、離職理由や被保険者期間、賃金額などによって変動し、最終的にはハローワークの決定によります。

モデル 前職の年収(目安) 退職給付金(例) 基本手当の総額(概算) 生活費(例) 生活可能月数のイメージ
単身・賃貸暮らし 300万円 20万円 約40万円(基本手当月額約11〜12万円×3〜4か月を想定) 15万円/月 (20+40)÷15 ≒ 約4か月分
配偶者・子1人 500万円 100万円 約75万円(基本手当月額約17万円×4〜5か月を想定) 25万円/月 (100+75)÷25 ≒ 約7か月分
40代・単身・持ち家 500万円 300万円 約120万円(所定給付日数がやや長いケースを想定) 18万円/月 (300+120)÷18 ≒ 約23か月分

※基本手当の月額は、厚生労働省公表の「賃金日額・基本手当日額の目安」(賃金水準ごとの支給例)を参考にした概算です。実際には離職票の賃金額・離職理由・年齢等により異なります。

基本手当(失業手当)の受給要件と支給の流れ

生活可能月数を検討する前提として、基本手当が受給できるかどうか、また、いつから支給されるかを押さえる必要があります。

受給要件(概要)

  • 失業の状態であること
    ・就職しようとする積極的な意思があること
    ・いつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)があること
    ・積極的に求職活動を行っているにもかかわらず職に就いていないこと
  • 被保険者期間
    ・通常は「離職前2年間に通算12か月以上」の被保険者期間が必要
    ・倒産・解雇等や、一定のやむを得ない理由による離職(特定受給資格者・特定理由離職者に該当する可能性がある場合)は、「離職前1年間に通算6か月以上」で受給資格を満たし得ます(該当性の判断はハローワークが行います)。

支給開始までの流れと給付制限

支給開始時期は、自己都合退職か会社都合退職か等により変わり、生活可能月数の試算にも影響します。

  1. 離職 → 離職票の受領
  2. ハローワークで求職申込・受給資格の決定
  3. 7日間の待期(この間は基本手当は支給されません)
  4. 給付制限(自己都合退職等の場合)
    ・正当な理由のない自己都合退職等:待期満了後、原則1か月(令和7年4月1日以降の離職の場合)の給付制限
    ・過去5年以内に一定回数以上の自己都合退職や懲戒解雇がある場合など:3か月の給付制限となる場合あり
  5. 4週間に1度の「失業の認定」に基づき、認定対象期間分の基本手当が口座振込されます。
自己都合・会社都合の違いによって、給付制限の有無・長さや、所定給付日数(特定受給資格者等の場合に手厚くなることがある)が変わるため、生活可能月数の試算を行う際は、離職理由の整理と受給資格の確認が前提となります。

まずは基本手当の「日額」と「日数」の目安を把握する

年齢・直近6か月の賃金・離職理由を入力すると、基本手当日額や所定給付日数、支給開始時期の概算が確認できるシミュレーターをご用意しています。あくまで目安であり、最終的な決定はハローワークによるものですが、「何ヶ月保つか」の検討材料として有用です。

生活費の洗い出し方と固定費・変動費の整理

退職後の生活可能月数は、「支出(生活費)」の見直し次第で変動します。次のように分けて整理すると試算しやすくなります。

区分 主な項目 見直しのポイント
固定費 住居費(家賃・住宅ローン)、光熱費、通信費、保険料、教育費など 契約の見直し(プラン変更・解約・一時停止)により、中長期的に支出を抑えられるかを確認
変動費 食費、日用品、交通費、交際費、娯楽費など 退職後の生活スタイルを前提に、「最低限必要な水準」と「削減可能な部分」を分けて考える
イレギュラー費 家電の買替え、車検、医療費など 当面1年〜2年で発生しうるものを洗い出し、退職給付金から別枠で確保しておくか検討

退職給付金と失業手当を組み合わせる際の実務的な視点

生活可能月数の試算だけでなく、次のような点も併せて確認すると、現実的な計画になりやすくなります。

  • 離職票の到着時期と、退職給付金の支給時期(就業規則・退職金規程)を確認しておく。
  • 基本手当の日額・所定給付日数・給付制限の有無などを、概算ツールとハローワーク双方で確認する。
  • 「受給期間」は離職日の翌日から1年が原則であり、この期間を過ぎると給付日数が残っていても受給できないことを認識しておく。
  • 病気・けが・妊娠・出産・育児・介護など、やむを得ない理由で30日以上働けない場合には「受給期間の延長」の制度もあるが、これは給付日数が増える制度ではなく、受給できる期間を後ろにずらす仕組みである点に注意する。
  • 一定の要件を満たして早期に安定就職した場合には、再就職手当や就業促進定着手当が支給される可能性があり、トータルの資金計画に影響し得る。

「何ヶ月保つか」を把握するための3ステップ

  1. 退職給付金の金額・支給予定日を就業規則・退職金規程等で確認する。
  2. 失業手当シミュレーターで、基本手当日額・所定給付日数・支給開始時期の概算を把握する。
  3. 毎月の生活費(固定費+変動費)を洗い出し、「退職給付金+基本手当の総額 ÷ 生活費」で生活可能月数の目安を計算する。

よくある質問(FAQ)

  • Q:退職給付金が多いと、失業手当が減ったり受けられなくなったりしますか?
    A:退職金の多寡そのものを理由として、雇用保険の基本手当の受給資格がなくなったり、基本手当日額が減額されたりすることは通常はありません。基本手当の受給可否や日額・日数は、主として離職前の賃金額、被保険者期間、離職理由などにより決まります。
  • Q:この記事のモデルケースどおりの金額が支給されますか?
    A:いいえ。本文中の金額は、厚生労働省が公表している支給例等を参考にした概算モデルであり、すべての方にそのまま当てはまるものではありません。実際の支給額・給付日数・給付制限の有無などは、離職票の内容や求職申込時の審査を通じて、所轄ハローワークが決定します。
  • Q:退職後しばらく休みたい場合、「受給期間の延長」で生活可能月数は増えますか?
    A:受給期間の延長は、基本手当を受け取れる「期間」を後ろに延ばす制度であり、所定給付日数そのものが増えるわけではありません。したがって、総額としての生活可能月数(合計受給額÷生活費)は変わらず、「どの時期に受け取るか」が変わる制度と理解していただくのが適切です。

参考リンク

本記事の内容は、執筆時点で公表されている雇用保険・退職金制度等に関する一般的な情報に基づくものであり、すべての方の個別事情を反映したものではありません。実際の給付の有無・金額・日数・給付制限等は、離職票や求職申込時の内容に基づく所轄ハローワークおよび各制度の運営主体の判断が優先されます。

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