失業手当が出ないと思い込んでいませんか?対象になる人・ならない人

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対象になる人・ならない人
失業手当が出ないと思い込んでいませんか?対象になる人・ならない人

失業手当が出ないと思い込んでいませんか?対象になる人・ならない人

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士)

「自分は失業手当の対象外だろう」と決めつけてしまい、手続きをしないケースは少なくありません。しかし、雇用保険(基本手当)の受給要件は法律で定められており、「対象になる人」「ならない人」の線引きは、一定のルールに基づきハローワークが判断します。本記事では、その判断枠組みに沿って、典型的なパターンと注意点を整理します。

まずは自分が「受給対象になり得るか」を数値で確認

失業手当シミュレーターで「受給資格の有無」「受給見込み額」を確認しておくと、そもそも自分が対象になり得るのか、どの程度の金額になりそうかの目安が把握しやすくなります。最終的な受給資格はハローワークが判断します。

結論(先に知っておきたい要点)

  • 失業手当(基本手当)の対象になるかどうかは、「離職前の被保険者期間」と「失業の状態(就職意思・能力・求職活動)」の有無で決まるのが原則です。
  • 家事専念・学業専念・自営専念・役員専念などは、通常は「失業の状態」とみなされず、基本手当の対象になりません。ただし、条件を満たして別の就職先への就職を目指す場合などは対象になり得ることがあります。
  • 最終的な受給資格や離職理由の取り扱い(会社都合に近いかどうか等)は、本人・事業主双方の主張と証拠資料を踏まえ、ハローワークが決定します。

「対象になる人」の基本条件(原則)

雇用保険の基本手当を受けるためには、大きく次の2つを満たす必要があります。

  1. 離職前の一定期間、雇用保険の被保険者であったこと(被保険者期間要件)。
  2. 離職後、「失業の状態」にあること(就職しようとする意思・能力があり、積極的に求職活動を行っていること)。

被保険者期間要件は、原則として「離職前2年間に通算して12か月以上」(倒産・解雇等やむを得ない離職の場合は「1年間に通算6か月以上」)とされています。失業の状態とは、就職しようとする意思と、いつでも就職できる健康状態・環境があり、積極的に仕事を探しているにもかかわらず職に就いていない状態を指します。※具体的な該当性は、ハローワークで確認されます。

「対象にならない人」の代表例(典型パターン)

被保険者期間の要件を満たしていても、次のようなケースは「失業の状態」とはみなされず、原則として基本手当の支給対象になりません。

  • 家事に専念しており、今後しばらく就職する意思がない場合。
  • 昼間学生で学業に専念しており、卒業後まで就職活動を行う予定がない場合。
  • 家業(自営業等)に従事しており、雇用されて働く予定がない場合。
  • 自営業を開始、又は起業準備に専念しており、他社への就職を希望していない場合。
  • 既に次の就職が決まっており、就職日までのつなぎとしてのみ給付を希望している場合。
  • 会社の役員等として実態のある活動・報酬があり、その地位に専念している場合。

これらに該当しても、「今後は雇用保険の被保険者として勤務できる企業への就職を希望し、実際に求職活動を行う」のであれば、失業の状態に該当し得る場合があります。最終的な判断は所轄のハローワークが行います。

「出ない」と思い込まれやすいが、実は対象になり得るケース

実務上、「自分は対象外だろう」と誤解されやすいものの、条件を満たせば受給できる可能性がある代表的な例を整理します。

1) 週20時間未満に労働時間が減った方

週の所定労働時間が20時間未満となり、雇用保険の被保険者資格を喪失した方でも、喪失前の被保険者期間が要件を満たし、かつ他社で雇用保険に加入できる就職を希望し求職活動を行う場合には、失業手当を受給できる可能性があります。

2) 会社都合に近い実態での離職(解雇・倒産・雇止め等)

会社の倒産や解雇、労働条件の著しい相違、長時間労働、ハラスメント等により離職した場合には、一般の自己都合退職とは異なる扱い(所定給付日数が長くなる等)となることがあります。どの区分に当たるかは、本人と事業主の主張および証拠資料をもとに、ハローワークが判断します。

3) 病気・けが・メンタル不調からの離職

病気やけがで一時的には働けない期間があっても、治療後に就職を希望し、医師から就労可能の診断が得られれば、失業手当の受給対象になる場合があります。離職直後に長期間働けないときは、「受給期間の延長」や傷病手当(雇用保険の傷病手当)といった別の制度が適用されることもあります。

手続きの流れと「対象になるかどうか」が確認されるポイント

基本手当の受給手続きは、概ね次の流れとなります。この中で、「対象になるか/ならないか」の判定が行われます。

  1. 離職:会社から離職票(1・2)が交付されます。離職理由の記載内容は後の判定に影響します。
  2. ハローワークで求職申込・受給資格の決定:必要書類を持参し、求職申込と受給資格の決定を受けます。この段階で、被保険者期間の要件や離職理由、就職意思・能力などが確認されます。
  3. 雇用保険説明会:受給資格者証や失業認定申告書が交付され、受給のルール説明が行われます。
  4. 待期7日間:失業の状態が通算7日間継続して初めて給付対象期間となります(この間は支給なし)。
  5. 給付制限(該当する場合):自己都合退職等の場合は、一定期間(原則1か月など)支給が行われない期間が生じます。
  6. 失業認定:原則4週間ごとに、求職活動状況や就労・収入の有無を申告し、「失業の状態」にあるかどうかの認定を受けます。
  7. 支給:認定を受けた日数分について、指定口座に振込が行われます(通常、認定日の約1週間後)。
離職票の離職理由が実際と異なる場合は、事業主への訂正依頼やハローワークへの相談を通じて、事実関係に即した判定が行われます。虚偽の申告による受給は不正受給となり、返還・加算金や刑事罰の対象となり得ます。

「失業中に働いた場合」の扱いと注意点

失業手当の受給中に働いた場合、その働き方によっては「就職」とみなされ、以後の基本手当が支給されなくなることがあります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある就労:原則として雇用保険の被保険者となるため、その期間は「就職」扱いとなり、基本手当は支給対象外です。
  • 短時間・短期間のアルバイト等:失業認定申告書に必ず就労日数・収入を申告する必要があり、収入額等によってはその日の基本手当が減額・不支給になる場合があります。

働いた事実や収入を申告しないと、不正受給と判断されるおそれがあります。不正受給となった場合、受給額の返還に加え最大3倍相当の納付を命じられたり、詐欺罪等で処罰される可能性もあります。

「出ない」と決めつける前に、受給資格と金額を仮確認

被保険者期間や離職理由、今後の就職意思がそろえば、思っている以上に受給対象となるケースもあります。シミュレーターで概算を出したうえで、具体的な事情はハローワークで確認すると安心です。

よくある質問(Q&A)

  • Q:家事や学業に専念している期間でも、失業手当はもらえますか?
    A:原則として、家事専念・学業専念のみを理由としている期間は、「失業の状態」とはみなされません。ただし、将来の就職を希望し、実際に求職活動を行う場合など、具体的な状況によって異なるため、ハローワークで個別に確認する必要があります。
  • Q:自営業を始める予定ですが、その前に失業手当をもらうことはできますか?
    A:自営業の開始・準備に専念している期間は、通常は「失業の状態」とはみなされません。他の企業への就職を目的として求職活動を行うのであれば受給対象となり得ますが、自営専念の場合には対象外となるのが原則です。
  • Q:離職票の離職理由を変更してもらえば、有利になるのでしょうか?
    A:離職理由は事実に基づいて記載される必要があります。事実と異なる記載を行うことは不正となり、事業主・本人ともに不正受給の対象となり得ます。実情と異なると思われる場合は、事実関係に基づき訂正を依頼し、そのうえでハローワークが判断します。

参考・公式リンク

「対象になる人・ならない人」を正しく理解して手続きを検討

失業手当が出るかどうかは、自己判断ではなく、雇用保険のルールに基づきハローワークが決定します。まずは受給資格と見込額を把握し、必要書類をそろえたうえで、所轄ハローワークで具体的な扱いを確認してください。

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士) — 本記事は、雇用保険制度に関する一般的な解説を目的としており、具体的な受給資格や取扱いについては、必ず所轄のハローワークにて最新の情報をご確認ください。

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