失業手当と健康保険・年金の関係|手取りが激減する人の落とし穴

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失業手当と健康保険・年金の関係|手取りが激減する人の落とし穴

失業手当と健康保険・年金の関係|手取りが激減する人の落とし穴

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士)

退職後に「失業手当が思ったより残らない」「保険料の負担を見落としていた」というケースは少なくありません。健康保険と年金は失業手当とは別制度で動き、選び方・手続きのタイミングを誤ると、手取りが大きく目減りします。本記事では、退職後に押さえておくべき健康保険と年金のしくみと、典型的な落とし穴を整理します。

まずは「失業手当の額」を把握してから保険を検討

失業手当シミュレーターで、おおよその受給総額と月々の受給見込みを確認しておくと、そこから健康保険・年金の保険料負担を差し引いた手取りイメージがつかみやすくなります。

結論(先に押さえておきたいポイント)

  • 失業手当は非課税だが、退職後は健康保険と年金の保険料を自分で負担することになり、手取りが大きく減ることがある。
  • 健康保険は「任意継続」「国民健康保険」「家族の扶養」の3択、年金は「第1号」「第3号」「再就職後は第2号」という区分になり、健康保険と年金は別々に手続きが必要。
  • 国民年金には免除制度があり、失業を理由に保険料負担を軽減できる可能性があるが、その分将来の年金額に影響する。

退職した瞬間に何が起きるか(健康保険・年金の資格喪失)

在職中は、会社の社会保険(健康保険+厚生年金)に加入し、保険料を会社と折半して負担しています。退職すると、これらの被保険者資格は退職日の翌日に喪失し、その後はそれぞれ別の制度に加入し直す必要があります。

  • 健康保険:退職日の翌日に被保険者資格喪失 → 任意継続・国民健康保険・家族の扶養のいずれかを選択。
  • 厚生年金:退職日の翌日に被保険者資格喪失 → 国民年金の第1号または第3号、あるいは再就職により第2号になる。

健康保険を任意継続しても、厚生年金が自動的に継続されることはありません。年金は別途、国民年金の種別変更手続きが必要になります。

退職後の健康保険:3つの選択肢と違い

選択肢 概要 主なポイント
① 任意継続被保険者 退職前に加入していた健康保険を最長2年間継続できる制度。保険料は全額自己負担。 退職前の標準報酬または平均標準報酬に基づく。家族も引き続き被扶養者として加入可能。
② 国民健康保険 住所地の市区町村で加入。所得や世帯構成に応じて保険料が決まる。 前年所得が高いと保険料が高額になることがある。軽減制度がある自治体もある。
③ 家族の健康保険の被扶養者 配偶者などが健康保険に加入しており、一定の収入要件を満たす場合に扶養に入る方法。 本人負担の保険料は不要だが、収入要件(年収130万円未満など)を満たす必要がある。

任意継続を利用する場合は、退職前に加入していた健康保険の保険者(協会けんぽや健康保険組合)に対して、資格喪失日の翌日から20日以内に申請する必要があります。要件としては、資格喪失日の前日までに通算2か月以上の被保険者期間が求められます。

退職後の年金:第1号・第3号・第2号の違い

年金は「国民年金」を土台とし、その上に「厚生年金」など被用者年金が乗る構造になっています。退職後どの区分に入るかにより、手続き先と保険料負担が変わります。

区分 対象となる人 保険料と手続き
国民年金第1号 日本国内に住む20歳以上60歳未満で、第2号・第3号以外の人(自営業・無職など)。 保険料は本人負担(月額17,510円/令和7年度)。住所地の市区町村役場や年金事務所で、退職日の翌日から14日以内に加入手続き。
国民年金第3号 厚生年金加入者(第2号)の扶養に入る20歳以上60歳未満の配偶者。 本人負担の保険料はなく、配偶者の加入する厚生年金制度が拠出。配偶者の勤務先経由で手続き。
国民年金第2号 厚生年金保険や共済組合に加入する被用者。 再就職先の事業主が厚生年金保険の資格取得届を提出し、保険料は事業主と折半で賃金から控除。

健康保険を任意継続としても、年金の区分は自動的には決まりません。失業中で扶養にも入らない場合は、多くの方が「第1号」となり、自ら加入と保険料納付(または免除申請)の手続きが必要です。

国民年金第1号の保険料負担と免除制度

国民年金第1号被保険者の保険料は、令和7年度で月額17,510円です。退職により収入が減少して納付が困難な場合には、免除や猶予の制度を利用できる可能性があります。

  • 免除の種類:全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除など。
  • 対象となる事情:前年所得が一定以下、失業や天災などにより納付が困難な場合など。
  • 失業を理由とする免除申請には、離職票や雇用保険受給資格者証の写し等が必要。

免除期間は将来の老齢基礎年金額に反映されますが、全額納付の場合より年金額は少なくなります。免除期間から10年以内であれば「追納」により後から納付し、将来の年金額を増やすことも可能です。

典型的な「手取り激減」のパターン

  • 前年の給与が高く、国民健康保険料が重くなるのに、任意継続や扶養との比較をせずに選んでしまう。
  • 国民年金第1号の加入手続きを行わず、未納がたまってしまう(将来の年金額が減少)。
  • 国民年金の免除申請をせず、全額自費納付を続けて家計を圧迫する。
  • 扶養に入れる収入水準なのに、情報不足で自分で国保+第1号を選択してしまう。

失業手当の額と保険料負担をセットで確認

失業手当の受給見込み額(毎月いくら入るか)を把握したうえで、健康保険・年金の保険料を見積もると、実際に使えるお金のイメージがつかみやすくなります。

失業手当と税金・保険料の関係

雇用保険から支給される基本手当(いわゆる失業手当)は、所得税・住民税ともに非課税扱いです。失業手当自体に対しては課税されず、これを理由に確定申告が必要になることもありません(他に申告が必要な所得がある場合を除きます)。

一方で、失業手当の有無にかかわらず、健康保険と年金の保険料は制度に応じて負担が発生します。雇用保険の給付を受けているかどうかで、健康保険や年金加入の義務が免除されるわけではありません。

退職後の手続きタイムライン(概要)

  1. 退職日〜退職日の翌日:会社の健康保険・厚生年金の資格喪失。
  2. 退職日の翌日〜14日以内:国民年金第1号の加入手続き(該当する場合)。
  3. 退職日の翌日〜20日以内:健康保険の任意継続を選ぶ場合は申請期限。
  4. 退職後:配偶者の扶養に入る場合は、配偶者の勤務先経由で健康保険・国民年金第3号の手続き。
  5. 失業手当の受給:離職票を受け取り、ハローワークで求職申込みと受給手続きを行う。
  6. 国民年金の免除申請:必要に応じて、市区町村役場や年金事務所で免除・猶予の申請。

Q&A(よくある質問)

  • Q:任意継続の健康保険に入れば、厚生年金もそのまま続きますか?
    A:健康保険と厚生年金は別制度のため、任意継続は健康保険のみが対象です。厚生年金の資格は退職日の翌日に喪失し、国民年金(第1号または第3号)への種別変更や、再就職による第2号への加入が必要になります。
  • Q:失業手当をもらっている期間は、国民年金を払わなくてもよいのですか?
    A:失業手当の受給と国民年金の納付義務は直接は連動していません。保険料の納付が困難であれば、失業を理由とした免除申請が可能であり、その際には離職票や雇用保険受給資格者証の写し等が必要です。

参考・公式リンク

手取りを守るには「給付額」と「保険料」を同時に確認

退職後の生活設計では、失業手当の額だけでなく、健康保険・年金の保険料を含めた実際の手取りを早めに把握しておくことが重要です。そのうえで、任意継続・国保・扶養や、国民年金の免除制度などを検討してください。

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士) — 本記事は一般的な制度解説と実務上の留意点を示したものであり、具体的な取り扱いは、所轄の市区町村・年金事務所・健康保険の保険者・ハローワーク等で必ずご確認ください。

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