退職後すぐ働くと損?再就職手当が最大化するタイミングと申請のコツ

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退職後すぐ働くと損?再就職手当が最大化するタイミングと申請のコツ
退職後すぐ働くと損?再就職手当が最大化するタイミングと申請のコツ

退職後すぐ働くと損?再就職手当が最大化するタイミングと申請のコツ

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士)

再就職手当 タイミング イメージ

退職後にすぐ働けば「生活費の穴」は埋まりますが、一方で雇用保険の「再就職手当」を受け取れるかどうかの境目を踏み越えてしまい、結果的に総収入が下がるケースがあります。本記事では、再就職手当の仕組み(支給率の段階・支給残日数の扱い)を押さえつつ、いつ働くと“もらえる額が最大化するか”、申請の提出タイミングや書類の落とし穴まで、実務で役立つコツを具体例で解説します。

この記事の先にある結論(要点まとめ)

  • 再就職手当は「残っている基本手当の日数」や「就職時点の残日数割合」によって給付率が変わる(2/3以上なら70%、1/3以上2/3未満なら60%)。
  • 「すぐ働く」ことが常に得になるわけではない。残日数が少ないと再就職手当の対象外になったり金額が小さくなる。計算例で判断を。
  • 申請書の提出期限や添付書類(受給資格者証、雇用契約書や出勤簿等)に不備があると支給が遅れる。郵送より窓口提出で不備確認を受けるのが安心。

まずは受給額の概算を出してみる

植本労務管理事務所のシミュレーターなら、残日数を変えたときの再就職手当の額を簡単に比較できます。まずは概算で自分が“得する”タイミングを確認しましょう。

再就職手当の基本ルール(短く正確に)

再就職手当は、基本手当(失業手当)の受給資格がある方が受給期間中に「安定した職業」に就いた場合に支給される一時金です。支給額は「支給残日数 × 給付率 × 基本手当日額」で計算されます。給付率は支給残日数の割合に応じて2段階に分かれます:所定給付日数の2/3以上残っていれば70%、1/3以上2/3未満なら60%です。

なお、実際に再就職手当が支給されるためには、支給残日数のほかにも、1年を超えて勤務することが確実であること原則として雇用保険の被保険者となること過去3年以内に再就職手当・常用就職支度手当の支給を受けていないことなど、複数の要件をすべて満たす必要があります。また、自己都合退職等で給付制限がある場合は、待期満了後1か月間はハローワーク等の紹介による就職であることが条件となります。

ポイント(超重要)

  • 「支給残日数」は就職日の前日までの失業認定を受けた後に残っている日数が基準になります。つまり認定手続きを適切に行う必要があります。
  • 基本手当日額には上限があり、年齢ごとに異なります(改定あり)。最新の上限はハローワーク・厚労省の案内を確認してください。

「退職後すぐ働く」と再就職手当にどう影響するか

行動パターンを3つに分けて考えると分かりやすいです:

  1. ケースA:退職→すぐ就職(待期前や待期中)
    待期期間(求職申込み後の7日間)を満了しないうちに就職すると、原則として再就職手当の要件(「待期満了後の就職」)を満たしません。具体的な取扱いは離職理由や個別事情によって異なることもあるため、就職前に必ず管轄ハローワークで確認し、「受給手続きと待期満了」を終えたうえで就職する流れを整えておくことが重要です。
  2. ケースB:待期満了後・認定後に就職(支給残日数が多い)
    認定を受け、支給残日数が所定給付日数の2/3以上残っているタイミングで「安定した職業」に就けば、給付率70%が適用される可能性が高いです。金額的に最も有利になりやすいのはこのパターンです。
  3. ケースC:受給期間の終盤で就職(支給残日数が少ない)
    支給残日数が1/3未満だと再就職手当の対象外になります(そもそも要件を満たさない)。その場合、再就職手当はもらえないため「すぐ働く」ことが単純に有利になることがあります。生活費や就業機会の状況によっては、手当の有無にかかわらず早期就職を優先することが合理的な場合もあります。
再就職手当 タイミング イメージ

計算で見る「得する/損する」の分岐(簡単な例)

仮定:基本手当日額 6,000円、所定給付日数 180日。

  • 支給残日数 120日(=所定給付日数の2/3)→ 再就職手当=120日 × 70% × 6,000円 = 504,000円。
  • 支給残日数 60日(=所定給付日数の1/3)→ 再就職手当=60日 × 60% × 6,000円 = 216,000円。
  • 支給残日数 50日(1/3未満)→ 再就職手当の対象外(0円)。この場合、退職後すぐ働けば手当をもらえないが、収入を得ることが最優先になることも。

※上限額や個別の給付制限は別途あり。概算の目安としてご活用ください。

再就職手当を最大化するための実務的コツ(6つ)

  1. ハローワークの認定スケジュールを先に把握する — 次回の失業認定日に必ず来所して認定を受け、就職日の前日まで認定を受けることで「支給残日数」を正確に確保できます。
  2. 就職日は「認定日の翌日以降」か確認する — 就職日の前日まで認定を受けておくのが鉄則です。認定を受けていないと、再就職手当の要件を満たさない可能性があります。
  3. 就職形態が「安定した職業」に該当するかを確認する — 週20時間以上かつ31日以上の雇用見込み等、雇用保険の被保険者要件に合致するかを就業先に確認しておきましょう。
  4. 複数の内定/就業開始日を比較して「どちらが得か」を試算する — 給与・開始日・労働時間を変えて再就職手当の金額を比較する(植本シミュレーター推奨)。
  5. 申請書は早めに準備、提出方法は窓口推奨 — 再就職手当支給申請書は一般に就職後1か月以内に提出する必要があります。窓口提出だと不備をその場で指摘してもらえ、支給の遅延を防げます(郵送も可だが不備リスクあり)。提出期限や必要書類は、必ず雇用保険受給資格者証などに記載の案内を確認してください。
  6. 就業先に「雇用証明(雇用契約書等)」の記入を依頼しておく — ハローワークは雇用の事実を確認するために雇用契約書や出勤実績を求めることがあります。事前に用意してもらい、申請時の手続き負荷を下げましょう。

申請時によくあるミスとその防止策

  • ミス:認定を受けずに就職日を申告してしまう — → ハローワークで認定を受けた記録がないと支給残日数の計算が狂い、再就職手当が受給できない恐れがあります。
  • ミス:申請期限を見落とす — → 再就職手当支給申請書は原則「就職の日の翌日から1か月以内」に提出する必要があります(地域により取扱い差あり)。受給資格者証やハローワークからの案内で、必ず期限を確認のうえ対応してください。
  • ミス:就業先に雇用証明を頼んでいない — → 企業に事前に雇用契約書や押印を依頼しておくことを推奨します。

Q&A(実務的な短答)

Q:待期期間前に就職したら必ず再就職手当はもらえない?
A:受給手続き後、7日間の待期期間満了後に就職した場合でなければ、原則として再就職手当の対象にはなりません。ただし、待期期間の扱いや給付制限の有無などで個別の判断が行われるため、まずはハローワークで確認してください。

Q:支給率70%はどのタイミングで適用される?
A:就職日の前日までの支給残日数が所定給付日数の2/3以上ある場合に70%が適用されます。

Q:申請は郵送でも良い?
A:郵送でも可能ですが、不備があると差し戻しで支給が遅れるため、可能なら窓口提出をおすすめします。

再就職手当 タイミング イメージ

まとめ:短期的な収入と再就職手当のバランスをどう取るか

「退職後すぐ働く」か「少し待って再就職手当を狙う」かはケースバイケースです。重要なのは自分の支給残日数と基本手当日額を把握し、再就職手当の概算を出して比較することです。実務上はハローワークの認定日スケジュールと申請期限を踏まえ、雇用先と連携して雇用証明を整えておくことが支給遅延リスクを下げます。また、再就職手当の支給を受けたうえで再就職先に6か月以上継続して雇用され、賃金が離職前より低い場合には、就業促進定着手当の対象となる可能性もあります。まずは植本のシミュレーターで複数シナリオを比較することをおすすめします。

参考・出典:ハローワーク「就職促進給付(再就職手当等)」、雇用保険受給者向けリーフレット等。制度の解釈や手続きは管轄ハローワークの最終判断によります。

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士)

参考リンク(公的資料)

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