再就職手当・就業促進手当を逃さない!受給条件・申請タイミングとよくある落とし穴

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再就職手当・就業促進手当を逃さない! 受給条件・申請タイミングとよくある落とし穴
再就職手当・就業促進手当を逃さない!受給条件・申請タイミングとよくある落とし穴

再就職手当・就業促進手当を逃さない!
受給条件・申請タイミングとよくある落とし穴

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士)

再就職手当のイメージ — 早期再就職で得するイメージ

失業手当(基本手当)を受給中、またはこれから受給する従業員からは「早く再就職したのに給付を取りこぼさないか不安だ」という声がよく聞かれます。再就職手当や就業促進定着手当は、その不安に応えるための制度です。本稿では、企業の労務担当者が従業員に案内する際に押さえておきたいポイント(受給要件・支給額計算・申請タイミング・申告漏れによるリスク・よくある落とし穴)を実務的に整理します。

先に結論(短く)
  • 再就職手当は「受給資格決定後に失業認定を受け、支給残日数が一定以上ある状態で1年超の継続雇用に就いた場合」に支給される一時金です。
  • 要件や申請タイミングを誤ると支給されないことがあるため、ハローワークでの認定・申告を正確にすることが重要です。
  • 失業認定中のアルバイト・業務委託も必ず申告してください(申告漏れは不正受給のリスク)。

💼 受給見込みを簡単チェック

支給残日数・離職理由・基本手当日額などを入力すると、再就職手当の概算額や受給タイミングの目安がわかります。まずはシミュレーターでチェックしましょう。

就職促進給付の全体像(簡潔)

雇用保険の「就職促進給付」は、失業者の早期かつ安定した就職を支援するための給付群です。主な給付には次があります:

  • 再就職手当:支給残日数が一定以上ある受給者が安定した職業に就いた場合の一時金
  • 就業促進定着手当:再就職後6か月以上継続勤務し、賃金が離職前より下がった場合の補填
  • 常用就職支度手当:障害等で就職が困難な方が就職した場合の一時金(要件別)
就職促進給付の体系図・フロー

再就職手当の基本的な考え方

再就職手当は、未受領の基本手当分の一部を前倒して支給することで、早期就職を促す仕組みです。ポイントは主に以下の3点です:

  • 就職日の前日までに失業認定を受け、受給資格が決定していること
  • 就職先が原則1年を超えて継続雇用されると認められること
  • 支給残日数が所定給付日数の1/3以上であること(さらに残日数に応じて支給率が変わる)

再就職手当の受給要件(8つのポイント)

  1. 基本手当の受給資格があり、ハローワークで求職申込み(受給手続)を行っていること
  2. 就職日の前日までに失業認定を受け、支給残日数が所定給付日数の1/3以上であること
  3. 雇入れ当初から1年を超えて継続雇用される見込みがあること(短期契約は原則対象外)
  4. 待期期間(受給手続き後の原則7日)が終了した後の就職であること
  5. 給付制限(自己都合等)がある場合、待期満了後1か月間はハローワーク等の紹介による就職であること(この期間を過ぎれば自己応募等も可)
  6. 離職前の事業主や密接な関連がある事業主への再就職でないこと
  7. 過去3年以内に再就職手当(または常用就職支度手当)を受給していないこと
  8. 受給資格決定前から採用内定していた事業主への就職でないこと、かつ雇用保険の被保険者となること(週20時間以上かつ31日以上など)

支給額の計算方法と具体例

再就職手当は次の2段階の支給率で算定されます:

  • 支給残日数が所定給付日数の2/3以上 → 支給率 70%
  • 支給残日数が所定給付日数の1/3以上2/3未満 → 支給率 60%

計算式:
支給残日数 × 基本手当日額 × 支給率

計算例

所定給付日数:180日 / 支給残日数:120日(=2/3以上) / 基本手当日額:6,000円(仮定)

120日 × 6,000円 × 70% = 504,000円

別例:支給残日数:60日(=1/3以上2/3未満)

60日 × 6,000円 × 60% = 216,000円

再就職手当の計算イメージ — 支給率別の図

就業促進定着手当と再就職手当の関係

再就職手当を受給した方が、再就職後6か月以上継続して勤務した結果、賃金が離職前より下がっている場合に支給されるのが就業促進定着手当です。主な要件は以下:

  • 再就職手当の支給を受けていること
  • 再就職先で6か月以上継続勤務していること
  • 再就職後6か月に支払われた賃金の1日分が離職前より下回ること(ただし一定の上限あり)

支給額(概算)=(離職前の賃金日額 − 再就職後の賃金日額)× 再就職後6か月間の支払日数(上限あり)

補足:2025年4月1日以降に再就職手当の支給に係る再就職をした場合は、就業促進定着手当の支給割合は一律20%に変更されています(運用変更があればハローワークの最新情報を参照)。

申請のタイミング — 毎段階での注意点

  • 就職日の前日までに失業認定を受ける必要がある点を従業員に必ず伝える(認定日にハローワークで申告)。
  • 就職日が認定日より前の場合は、就職前日の来所で認定を受けられるのが一般例。
  • 就職日が土日祝日の場合は、直前の開庁日に手続を行う。
  • 採用証明書や再就職手当に関する申請書は就職先に記入してもらう必要があるため、事前に用意を依頼するとスムーズ。

失業認定期間中の就労・申告漏れのリスク

失業中に行ったパート・アルバイト・業務委託などは、名称にかかわらず「働いた日」は必ず失業認定申告書に記載して申告する必要があります。主な基準は次の通りです:

  • 1日の就労時間が4時間未満 → 「内職・手伝い」として扱われ、収入に応じて基本手当が減額される可能性あり
  • 1日の就労時間が4時間以上 → 「就労」とみなされ、その日は基本手当の支給対象外
  • 週20時間以上かつ31日以上の雇用見込み → 原則として「就職」と扱われ、基本手当の受給資格を喪失する可能性あり

申告漏れが発覚した場合は、不正受給と見なされ、返還・加算・給付停止などの重い措置が取られるため、従業員には「働いた日は必ず申告する」ことを徹底してください。

企業が従業員に案内する際の実務的ポイント(チェックリスト)

  1. 退職案内時にハローワークでの受給手続きの必要性を伝える(申請しないまま再就職すると給付対象外になる)。
  2. 自己都合退職者には「待期満了後1か月の紹介ルール」を説明しておく。
  3. グループ会社への再就職や出戻りは対象外になり得るため、事前に雇用保険上の取扱いを確認する。
  4. 1年未満の有期契約での再就職は原則対象外。採用時に契約期間や更新の見込みを明記しておく。
  5. 再就職手当受給後に6か月未満で退職した場合、定着手当の対象外となる点を説明する。
  6. 失業認定期間中の就労は必ず申告するよう、社内で周知する(不正受給リスクが会社にも波及する場合あり)。

よくある質問(FAQ)

Q1:再就職手当はハローワーク経由でしかもらえませんか?

A:給付制限の有無など条件によりますが、ハローワークの紹介である必要があるのは給付制限期間中の「待期満了後1か月」のみです。それ以外は自己応募や縁故、派遣経由などでも要件を満たせば対象となります。

Q2:過去に再就職手当をもらっていたら再度受け取れますか?

A:過去3年以内に再就職手当(又は常用就職支度手当)を受給している場合は再支給されません。過去の受給歴を確認しておきましょう。

Q3:離職前に内定が出ていた勤務先に就職した場合はどうなりますか?

A:原則、受給資格決定(求職申込み)前に内定していた事業主に雇用された場合は対象外です。注意して案内してください。

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監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士)

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