失業手当計算サイト徹底比較|ハローワーク・厚生労働省・植本労務管理事務所シミュレーター

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失業手当計算サイト徹底比較|ハローワーク・厚生労働省・植本労務管理事務所シミュレーター

植本労務管理事務所 監修

失業手当 計算 比較
【ご利用にあたっての注意】
本記事の内容は、雇用保険の失業等給付および就職促進給付(再就職手当・就業促進定着手当・常用就職支度手当など)の一般的な仕組みをもとにした解説です。実際の受給可否や支給額の決定は、すべて管轄ハローワークによる審査・決定により行われます。制度・上限額・給付率等は毎年見直しが行われることがあるため、最新情報は必ずハローワークおよび厚生労働省の公式情報でご確認ください。

失業手当(基本手当)や再就職手当・就業促進定着手当の受給見込みを調べる際、どのサイトで計算すべきか迷われる方は少なくありません。
現在よく利用されるのは、

  • ハローワーク公式ページ(制度解説・所定給付日数表など)
  • 厚生労働省の簡易計算ツール
  • 当事務所のような、民間のシミュレーター

それぞれに役割が異なり、「どれが一番正しい」というよりも、目的に応じて使い分けることが重要です。本記事では、制度の体系や就職促進給付の要点も踏まえながら、各ツールの特徴・メリット・注意点を比較し、実務での使い分け方をご説明します。

結論(早見表)

まずは全体像をつかんでいただくために、主要3サイトの比較を一覧にまとめます。

比較項目 ハローワーク(公式) 厚生労働省 植本労務管理事務所
主な役割 雇用保険制度の公式解説・所定給付日数表などの提供 基本手当の簡易計算と制度説明 失業手当・再就職手当・就業促進定着手当等の受給見込みを個別試算
計算対象 基本手当・所定給付日数等の制度解説が中心 基本手当の簡易額(目安) 失業手当・再就職手当(支給残日数と給付率)・支給開始日・グラフ表示等
入力項目 少なめ(年齢・離職理由・被保険者期間など) かなり少ない(概算向け) 多め(直近6か月の給与、加入期間、退職理由、就職予定日など)
精度のイメージ 制度根拠に基づく公式情報(高い) 概算の目安(中程度) 実務レベルで高い精度の試算(ただし最終決定はハローワーク)
初心者への分かりやすさ 用語が専門的で慣れが必要 シンプルで直感的 画面UIでステップごとに解説(初めての方でも使いやすい構成)
視覚化(グラフ) なし なし あり(支給スケジュールや累計受給額をグラフ表示)
推奨される用途 制度の正式ルール確認・所定給付日数の把握 おおまかな受給額の感覚把握 個別ケースでの受給見込み・再就職手当の支給残日数等の把握

雇用保険と就職促進給付の基本整理

まず前提として、雇用保険の失業等給付は、「求職者給付」「就職促進給付」などから構成されています。

  • 求職者給付:失業された方に支給される「基本手当」など
  • 就職促進給付:早期再就職や職業訓練を促すための給付(再就職手当・就業促進定着手当・常用就職支度手当など)

計算サイトを利用する際は、「どの給付の見込みを確認したいのか」を意識しておくことが重要です。基本手当(いわゆる失業手当)のみを知りたいのか、早期再就職をした場合の再就職手当の見込みまで把握したいのかで、必要となる情報や計算ロジックが大きく変わります。

各ツールの特徴(深掘り)

ハローワーク(公式サイト)の位置づけ

ハローワーク(公共職業安定所)の公式ページは、雇用保険制度に関する最も信頼性の高い情報源です。 とくに、次のような情報を確認する際には必ず参照すべきです。

  • 基本手当の受給要件(被保険者期間・離職理由など)
  • 年齢・被保険者期間ごとの所定給付日数
  • 再就職手当・常用就職支度手当の支給要件の一覧
  • 就業促進定着手当の計算式や上限(支給残日数×20%など)
  • 制度改正(例:就業手当の廃止予定など)

実務上は、「まず公式の所定給付日数や支給要件を確認し、そのうえで試算ツールを使う」という流れが最も安心です。

ただし、公式ページは条文や告示に基づいた説明が中心であるため、専門用語が多く、具体的な金額やスケジュールを直感的にイメージしづらいという点があります。この部分を補うのが、厚生労働省の簡易計算と民間シミュレーターです。

公式ページの代表的な入口はこちらです。
▶ ハローワーク「基本手当について」

ハローワーク公式サイトのメリット
  • 法令・告示に基づいた最新の制度情報が確認できる
  • 所定給付日数の表など、実務上必須となる資料が掲載されている
  • 不服がある場合の審査請求の手続きなども案内されている
ハローワーク公式サイトのデメリット
  • グラフ表示やシミュレーション画面はなく、金額イメージが湧きにくい
  • 専門用語(所定給付日数・支給残日数・給付制限など)の理解が前提となる

厚生労働省(簡易計算ツール)の役割

厚生労働省が提供している「簡易計算」は、基本手当の大まかな目安額を素早く知りたい方向けのツールです。 入力項目が少ないため、初めて雇用保険に触れる方でも扱いやすい反面、以下のような性質があります。

  • 賞与の扱い・残業の変動・短期間の賃金変動など、細かい個別事情までは反映されない
  • 再就職手当・就業促進定着手当・常用就職支度手当などの就職促進給付の詳細試算まではカバーしていない
  • あくまで「概算」として利用し、正式な支給額はハローワークでの算定結果を確認する必要がある

制度の全体像をハローワーク公式ページで押さえつつ、「おおよその日額・月額感覚」をつかむ用途に向いています。

▶ 厚生労働省:失業等給付(簡易計算)

植本労務管理事務所のシミュレーター(当事務所)の位置づけ

当事務所シミュレーターの特徴

当事務所の失業手当・再就職手当シミュレーターは、実務での相談対応経験に基づき設計したツールです。次のような点を重視しています。

  • 直近6か月分の給与・賞与・雇用保険加入期間など、実際の算定で重視される項目を入力可能
  • 離職理由(自己都合・会社都合など)や給付制限の有無、再就職予定日を踏まえ、支給残日数と再就職手当の給付率(60%/70%)の目安を算出
  • 再就職手当を受給した場合に、就業促進定着手当の対象となりうるかを検討するうえで参考になる情報も提示
  • 受給開始日・支給サイクル・累計受給額などをグラフで可視化し、「いつ・いくら」という時間軸のイメージがしやすい

なお、シミュレーターはあくまでも概算の試算結果を提供するものであり、実際の支給額や受給可否を保証するものではありません。最終的な支給決定は、必ずハローワークの審査結果をご確認ください。

再就職手当・就業促進定着手当を踏まえた計算の考え方

計算ツールを比較するうえで、特に重要となるのが再就職手当就業促進定着手当の取扱いです。これらはいずれも就職促進給付の一種であり、基本手当の受給資格者が早期に安定した職業に就くことを促進するための制度です。

再就職手当の支給要件と計算式(概要)

再就職手当は、基本手当の受給資格者が、1年を超えて勤務することが確実な職業に早期に就いた場合に支給される手当で、次の要件を全て満たす必要があります。

  • 就職日の前日までの失業の認定を受けており、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っていること
  • 待期期間(7日)が経過した後に就職していること
  • 1年を超えて引き続き雇用される見込みであること
  • 離職前の事業主や密接関係にある事業主に再就職したものでないこと
  • 過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと
  • 原則として、雇用保険の被保険者となる就職であること など

特に、自己都合退職などで給付制限がある方は、待期満了後1か月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職した場合のみ再就職手当の対象となる点に注意が必要です。これを過ぎれば、自己応募でも対象となり得ます。

支給額の基本的な考え方は次のとおりです。

  • 支給残日数が所定給付日数の2/3以上:支給残日数 × 70% × 基本手当日額(上限あり)
  • 支給残日数が所定給付日数の1/3以上:支給残日数 × 60% × 基本手当日額(上限あり)

基本手当日額には年齢等に応じた上限があり、この上限額は「毎月勤労統計」により毎年8月1日以降に見直されるため、具体的な金額は必ず最新の公式情報で確認する必要があります

就業促進定着手当のポイント

再就職手当の支給を受けた方が、再就職先で6か月以上継続して働き、その6か月間の賃金日額が離職前より低くなった場合に検討されるのが、就業促進定着手当です。

  • 対象:再就職手当を受給した方で、同一事業主に6か月以上継続雇用されていること
  • 要件:再就職後6か月間の賃金の1日あたりの額が、離職前の賃金日額を下回っていること
  • 上限:基本手当日額 × 支給残日数 × 20%を上限として支給

2025年4月1日以降に再就職手当の支給に係る再就職をした場合には、就業促進定着手当の給付率が一律20%となるなど、制度の見直しが予定されています。この記事をお読みのタイミングによって取り扱いが異なる可能性がありますので、最新の公式情報をご確認ください

不正受給に関する注意喚起
離職理由や就職日、賃金額等について、故意に事実と異なる申告を行った場合には、「偽りその他不正の行為」に該当し、受給できなくなるだけでなく、不正に受給した金額の返還(3倍相当の納付)や、刑事上の責任を問われる可能性があります。計算ツールに入力する際も、実際の事実に基づき正確な情報を把握することが前提となります。

どのツールをいつ使うべきか(目的別)

目的に応じた使い分けのイメージを、あらためて整理します。

目的 優先して確認すべきツール 理由・位置づけ
制度の公式根拠を確認したい ハローワーク公式サイト 法令・告示に基づく正式な所定給付日数表や支給要件が確認できるため
基本手当のおおよその金額感を知りたい 厚生労働省 簡易計算 入力項目が少なく、日額・月額の「目安」を素早く把握できるため
自分のケースでの受給スケジュールを具体的に把握したい 植本事務所シミュレーター 給与6か月・加入期間・退職理由・就職予定日などを反映し、再就職手当・就業促進定着手当の可能性まで含めた概算が取れるため
再就職手当の支給残日数や給付率(60%/70%)の目安を知りたい 植本事務所シミュレーター+ハローワーク公式 シミュレーターで支給残日数のイメージを掴みつつ、最終的な可否はハローワークで確認するのが適切なため
就業促進定着手当・常用就職支度手当の対象になるか確認したい ハローワーク公式説明+シミュレーター 要件が複雑なため、公式の支給要件を確認しつつ、シミュレーターは概算の参考として利用するのが現実的なため

実務アドバイス(専門家より)

人事・労務ご担当者が従業員の方に案内される際の流れとしては、次のようなステップが整理しやすいと考えています。

  1. 公式情報で「枠組み」を押さえる
    まず、ハローワーク/厚生労働省の公式ページで、基本手当の受給要件・所定給付日数・再就職手当/就業促進定着手当等の支給要件を確認します。
  2. 従業員ごとに概算シミュレーションを実施
    そのうえで、当事務所シミュレーターを用いて、離職予定者それぞれの給与・加入期間・退職理由に応じた概算受給額・支給開始日・再就職手当の支給残日数の目安などを算出すると、本人が今後の生活設計を立てやすくなります。
  3. ハローワークでの正式な算定・相談を前提とする
    シミュレーション結果はあくまで目安であり、最終的な受給可否・支給額・支給手続きの詳細は、必ず管轄ハローワークで確認するよう案内することが重要です。
  4. 給付制限中の就職経路や6か月継続雇用など、要件の誤認に注意
    とくに、再就職手当・就業促進定着手当は、支給残日数6か月継続雇用などの要件を満たさないと支給されません。自己都合退職で給付制限がある場合は、待期満了後1か月間の就職経路(ハローワーク紹介など)にも留意が必要です。

よくあるご質問(ツール利用に関するQ&A)

Q1. シミュレーターの金額と、実際の支給額が違うことはありますか?

A. あります。シミュレーターは、公開されている制度情報に基づき算定ロジックを組んでいますが、賃金日額の算定方法・端数処理・上限額・過去の受給歴など、細かい点は個別の事情により異なることがあります。最終的な支給額は、ハローワークによる審査に基づき決定されます。

Q2. 再就職手当や就業促進定着手当も、シミュレーターで完全に判断できますか?

A. シミュレーターでは、支給残日数や賃金水準などをもとに概算の可能性をお示しできますが、支給要件を全て満たしているかどうかの最終判断はできません。特に、給付制限中の就職経路(ハローワーク紹介か否か)や、過去3年以内の受給歴などは、ハローワークでの確認が不可欠です。

Q3. 制度改正があった場合、記事やシミュレーターはどうなりますか?

A. 就業促進定着手当の給付率変更や、就業手当の廃止など、就職促進給付に関する改正が予定されているものもあります。本記事およびシミュレーターは、可能な限り最新情報を反映するよう努めますが、改正直後などの時期は公式情報とのズレが生じる可能性もあります。重要な判断の前には、必ず最新のハローワーク・厚生労働省の情報をご確認ください。

参考(公式リンク)

本記事は、労務管理担当者の方が従業員への案内や社内説明を行う際の参考として作成したものです。個々のケースの詳細な取扱いは、退職日・離職理由・雇用保険加入歴・賃金の支給形態などにより大きく異なりますので、最終的な判断は必ず管轄ハローワークの説明・決定内容に従ってください。

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士)

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