【完全ガイド】退職給付金はどこに申請する?会社・共済・企業年金ごとの申請先と手順を社労士が解説
植本労務管理事務所 監修(社会保険労務士)
「退職給付金(退職金)はどこに申請すればいいの?」と迷う方は多いです。実は申請先は制度の種類によって異なり、会社(人事・総務)・共済機構・企業年金の運営管理機関・場合によっては企業年金連合会などが窓口になります。以下でタイプ別にわかりやすく整理し、必要書類・申請の流れ・よくあるトラブル対策まで解説します。
この記事の要点:まずは「自分の退職給付がどの制度に該当するか」を会社の就業規則や退職金規程で確認し、該当する窓口へ申請するのが最短ルートです。
この記事の結論(まずこれだけ押さえてください)
- 会社が支給する「退職金(退職給付金)」は基本的に**勤務先の人事・総務窓口**が申請窓口。
- 中小企業退職金共済(中退共)に加入している場合は**中退共(勤労者退職金共済機構)**に請求します(手続き方法や必要書類は中退共サイトで確認)。
- 確定給付企業年金(DB)や確定拠出年金(企業型DC)は**各制度の管理者(企業・運営管理機関・信託銀行など)**が窓口。申請時期は規約に従います。
- 各年金・給付の窓口が不明なら、まず**会社の人事**に問い合わせるのが最短。企業から案内が来るはずです。
制度別:どこに申請するか(詳しく)
1) 会社(自社の退職金規程に基づく退職金)
通常の「退職金」は勤務先が支払うので、まずは **人事・総務(事業所)** に確認します。就業規則や退職金規程に支給条件(勤続年数、算定方法、支給時期)が記載されています。会社によっては退職金請求書類・振込先届の提出を求められます。
2) 中小企業退職金共済(中退共)に加入している場合
中小企業退職金共済(中退共)へ加入している事業主の場合は、請求は基本的に **中退共(勤労者退職金共済機構)** を通じて行います。会社が手続きを代行するケースもありますが、退職者自身が請求書や退職金共済手帳を用意する必要があるので、中退共の案内に従ってください。
3) 確定給付企業年金(DB)・企業年金連合会 関連
確定給付企業年金のうち「規約型(会社が窓口)」や「基金型(企業年金基金)」などがあります。給付請求は規約で定められた窓口(所属企業または企業年金基金)に対して行います。企業年金連合会が関係するケースでは、連合会へ裁定請求書が送付される仕組みです。申請時期や書類は各制度によります。
4) 企業型確定拠出年金(企業型DC)
企業型DCは運営管理機関(証券会社・運用管理機関)が窓口です。受給開始の手続きは、加入中の運営管理機関へ問い合わせてください(手続き時期・受給方法の選択が必要)。
5) 海外からの脱退一時金や移換など特殊ケース
期間の定めや海外勤務・厚生年金基金からの移換など特殊なケースは、**企業年金連合会・日本年金機構などの窓口**に確認すると確実です(該当者には機関から案内が届くことが多い)。
申請前に必ず確認・準備すべき項目(チェックリスト)
- 自分の退職給付制度の種類を確認(就業規則、退職金規程、就業規則の該当箇所をスクリーンショットして保存)
- 申請窓口を特定(人事か中退共か運営管理機関か等)→ 不明ならまず会社の人事へ問い合わせ
- 必要書類を揃える(退職金請求書、本人確認書類、振込口座確認書類、退職金共済手帳 等)
- 支給スケジュールを確認(支給日は規程で定められている場合がある)
- 税金や社会保険の影響を確認(退職金は退職所得扱い、税制優遇あり)
申請の流れ(代表的な例)
| ステップ | やること(目安) |
|---|---|
| 1 | 退職・離職が発生 → 退職金の制度・規程を確認 |
| 2 | 会社の人事に申請窓口を確認(中退共や年金連合会の場合は別途手続き) |
| 3 | 必要書類を揃えて提出(会社提出 or 直接機関へ) |
| 4 | 処理後、指定口座へ振込(処理期間は制度により異なる) |
よくあるトラブルと回避策
- トラブル:「申請窓口が不明で申請が遅れる」 → 回避:退職前に人事へ必ず書面で確認し、メールで保存しておく。
- トラブル:「書類不備で支給が遅延」 → 回避:提出前に必要書類リストと添付ファイルをチェックリストで照合。
- トラブル:「退職金と企業年金の取り扱いが混同される」 → 回避:就業規則と加入通知(企業年金の加入通知)をコピーして照合し、該当する制度の窓口に直接問い合わせ。
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