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退職する前に確認|失業手当の受給総額を30秒でチェック!!
監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士)
退職前に「失業手当でどれくらい生活できるか」を素早く把握したい方へ。本記事では、直近6か月の給与合計を入れるだけで、おおまかな賃金日額→基本手当日額→受給総額(すべて概算)を確認する方法をまとめています。雇用保険の制度に基づきつつ、あくまで目安として、退職後の資金計画を検討するための材料としてご利用ください。
30秒で受給総額の目安を出す(簡単3ステップ)
用意するもの:直近6か月の給与合計(総支給額。賞与・退職金は除く)。入力いただくと、雇用保険の一般的な算定方法に沿って、賃金日額の概算→基本手当日額の概算→所定給付日数を掛けた受給総額の概算までをシミュレーションします。実際の支給額は離職票に基づきハローワークで決定されますので、その前提を踏まえた「目安確認ツール」としてご利用ください。
雇用保険の制度の詳細は、厚生労働省やハローワークの公式ページで必ずご確認ください(本記事末尾に公式リンクを記載しています)。
まずは結論(要点3つ)
- 賃金日額(概算)=離職前6か月の賃金合計 ÷ 180で、おおよその日額を把握できます(総支給ベース・賞与除外)。
- 基本手当日額は、賃金日額×給付率(原則45〜80%)で計算されます。実際の給付率は賃金水準・年齢区分によって変わりますが、一般的な目安として60%前後と考えると大きくは外れにくい水準です。
- 基本手当日額×所定給付日数=受給総額(概算)となります。所定給付日数は雇用保険の被保険者期間・離職理由(自己都合・会社都合など)・年齢によって決まります。
※本記事およびシミュレーターで提示される金額・日数は、すべて「制度の一般的なルールに基づく概算」です。
※最終的な受給資格の有無・基本手当日額・所定給付日数・受給期間などは、離職票等の実データに基づき、所轄ハローワークが行う算定結果が唯一の確定値となります。
30秒チェック:具体的な3ステップ(そのまま使える)
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直近6か月の給与合計(総支給)を集める
・「直近6か月」は、原則として離職日の直前の6か月を指します。
・給与明細の「総支給額(税・社会保険料控除前)」を6か月分足し合わせます。
・時間外手当や通勤手当、役職手当など、毎月支払われた賃金は基本的に含めます。
・一方で、賞与(ボーナス)・退職金は賃金日額の計算には含めません(雇用保険上も対象外です)。 -
賃金日額を計算(計算式)
・雇用保険の基本手当は、「賃金日額」=離職前6か月の賃金総額 ÷ 180を基礎として算定されます。
・「180」で割るのは、6か月≒180日とみなして平均日額を出すためです。
・実務上は、賃金日額 = 6か月の給与合計 ÷ 180で計算しておけば、概ねハローワークの賃金日額と近い水準になります(実際には端数処理や上限・下限額の適用があります)。 -
基本手当日額と受給総額を出す
・基本手当日額は、賃金日額に一定の給付率(45〜80%)を掛けて算出します。給付率は賃金水準と年齢により段階的に変動し、賃金が高くなるほど給付率は下がる仕組みです。
・概算の目安としては、基本手当日額 ≒ 賃金日額 × 0.6(60%)程度で置いておくと、実務水準とそこまで乖離しにくいケースが多いです。
・概算の受給総額は、受給総額(概算) = 基本手当日額(概算) × 所定給付日数(見込み)として計算します。
・所定給付日数は、被保険者期間や離職理由・年齢で大きく変わるため、ここではあくまで自己都合90日〜150日、会社都合120日〜330日程度を目安として扱っています(実際の区分は公式表を必ず確認してください)。
| 直近6か月合計 | 賃金日額(÷180) | 想定給付率(概算) | 基本手当日額(概算) | 想定所定給付日数 | 受給総額(概算) |
|---|---|---|---|---|---|
| ¥600,000(平均月10万円) | 約¥3,333 | 60% | 約¥2,000 | 90日(自己都合・被保険者期間1年以上5年未満などの想定) | 約¥180,000 |
| ¥1,200,000(平均月20万円) | 約¥6,667 | 60% | 約¥4,000 | 120日(会社都合・被保険者期間1年以上などの一例) | 約¥480,000 |
| ¥2,400,000(平均月40万円) | 約¥13,333 | 60% | 約¥8,000 | 150日(自己都合・被保険者期間20年以上などの一例) | 約¥1,200,000 |
※上記は、わかりやすさを優先した「イメージ」です。
・実際には、賃金日額・基本手当日額に年齢区分ごとの上限額・下限額があり、毎年8月1日に改定されます。
・所定給付日数も、年齢・被保険者期間・離職理由(特定受給資格者・特定理由離職者か否かなど)により細かく区分されています。
詳細な額や日数については、必ず最新の厚生労働省資料および所轄ハローワークでご確認ください。
基本手当日額・給付率・上限額の概要
雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)は、離職前6か月の給与総額を180で割った「賃金日額」をベースに計算されます。そのうえで、賃金日額に一定の給付率(45〜80%)を乗じ、さらに年齢区分別の上限額・下限額を適用した結果が「基本手当日額」となります。
例えば、令和7年8月1日以降の基準では、賃金日額・基本手当日額のおおまかな上限は以下のように設定されています(金額は今後の改定により変わる可能性があります)。
- 離職時の年齢が29歳以下:賃金日額の上限約14,510円、基本手当日額の上限約7,255円
- 30〜44歳:賃金日額の上限約16,110円、基本手当日額の上限約8,055円
- 45〜59歳:賃金日額の上限約17,740円、基本手当日額の上限約8,870円
- 60〜64歳:賃金日額の上限約16,940円、基本手当日額の上限約7,623円
※いずれの年齢区分でも、基本手当日額の下限額(最低額)が定められており、離職時の年齢に関係なく一定額(令和7年8月1日以降は2,411円)が適用されます。
※最新の上限額・下限額は、厚生労働省が毎年公表している「雇用保険の基本手当日額の上限・下限額等に関するお知らせ」等で必ずご確認ください。
退職前に押さえておきたい実務ポイント(会社員向け)
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退職日と受給手続きのタイミング
・雇用保険の基本手当を受けるには、退職後にハローワークで「求職の申込み」と「受給資格の決定」の手続きを行う必要があります。
・受給手続き後、まず7日間の待期期間があり、この期間中は基本手当は支給されません。
・さらに、正当な理由のない自己都合退職の場合には、待期満了日の翌日から原則1か月間(退職日が一定期間より前の場合は2か月間)の給付制限がかかり、その間も基本手当は支給されません。
・倒産・解雇など会社都合扱いとなる場合や、一定のやむを得ない理由がある場合は、この給付制限がかからない(または緩和される)ことがあります。 -
退職金は賃金日額計算に含めない
・雇用保険上の「賃金日額」は、離職前6か月の賃金(給与)を対象とし、賞与・退職金は含まれません。
・したがって、退職金の金額は、基本手当日額や所定給付日数には直接影響しません。
・退職後の生活設計を考える際には、「失業手当の概算受給額+退職金(税・社会保険等控除後の手取り)」を合算し、想定される月間生活費と照らして「何か月分の生活費に相当するか」を整理しておくとわかりやすくなります。 -
ハローワークで確定算定を受ける
・実際の基本手当日額・所定給付日数・受給期間は、離職票−1・離職票−2などに記載された賃金・在籍期間・離職理由等に基づき、所轄ハローワークが決定します。
・自社でのシミュレーションはあくまで「目安」ですので、従業員の方には、退職後に必ずハローワークで正式な算定結果を確認する必要がある旨を案内しておくと誤解を防ぎやすくなります。
受給総額を見たあとの整理ポイント(会社員向けチェックリスト)
- シミュレーターで概算受給総額・受給開始時期のイメージを確認する。
- 退職金規程・退職金見込額を確認し、税務上の取扱いを前提に手取り見込額を把握する(必要に応じて税務の専門情報を確認)。
- 月間生活費(住居費・食費・教育費・保険料・ローン等)を洗い出し、失業手当+退職金で何か月程度生活できるかを大まかに試算する。
- 必要に応じて、再就職の目標時期や、必要な資格取得・求職活動の計画を整理する。
- 疑問点があれば、退職後に所轄ハローワークや年金事務所・税務署等の公的窓口で制度面の確認を行う。
簡易フロー:退職前の最短確認手順
- 給与明細で直近6か月分の総支給額を確認・合計する。
- 本記事またはシミュレーターを用いて、賃金日額・基本手当日額の概算と受給総額の目安を把握する。
- 雇用保険の被保険者期間(加入期間)と離職理由から、所定給付日数のおおよその区分(90日・120日・150日・180日等)を確認する。
- 退職金(税後)やその他の預貯金・配偶者の収入などを加味し、退職後何か月程度、どの程度の水準で生活できそうかを整理する。
- 必要に応じて、退職時期・有給休暇消化の方法・社会保険の任意継続や国民健康保険の手続きなど、関連する実務対応を検討する。
今すぐ30秒チェック:受給総額を試算する
直近6か月の給与合計を入力するだけで、賃金日額・基本手当日額・受給総額(いずれも概算)の目安を表示します。
また、離職理由(自己都合・会社都合など)や雇用保険の被保険者期間を入力することで、所定給付日数の目安や給付制限期間の有無・長さも簡単にイメージできます。退職前に一度、退職後の資金見通しの参考としてご活用ください。
参考・公式窓口(確認先)
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ハローワーク(申請・受給に関する相談)
最寄りのハローワークは以下から検索できます:
ハローワークインターネットサービス(公式) -
雇用保険の制度情報(基本手当の仕組み・受給要件・給付日数など):
厚生労働省|雇用保険制度のご案内 -
基本手当日額の上限額・下限額等(毎年8月改定):
厚生労働省|雇用保険に関するお知らせ(基本手当日額等) -
退職金の税務(退職所得の課税の仕組み):
国税庁タックスアンサー|退職金と税金(退職所得の源泉徴収) -
年金と失業手当の併給調整(老齢厚生年金などを受給中の方):
日本年金機構(公式サイト)
本記事は、現行の雇用保険制度に基づく一般的な目安・解説として作成しています。
・最終的な給付可否・給付日数・金額等および退職金の税務処理は、個別の事情(賃金額、在籍期間、離職理由、年齢、法改正の有無など)により大きく異なります。
・確定した金額や取扱いは、必ず所轄ハローワーク・年金事務所・税務署等の公的機関からの案内・通知が優先されます。
退職をご検討中の方を支援するための「概算シミュレーション」としてご活用いただき、最終判断にあたっては、必ず最新の公式情報をご確認ください。
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