再就職手当を加味した最終受給額を一発で出す!!失業手当シミュレーター活用法

失業手当シミュレーター 新着記事

再就職手当を加味した最終受給額を一発で出す!!失業手当シミュレーター活用法
再就職手当を加味した最終受給額を一発で出すシミュレーター活用法

再就職手当を加味した最終受給額を一発で出す!!失業手当シミュレーター活用法

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士)

本記事は、雇用保険の失業手当(基本手当)の概算に「再就職手当」を加え、最終的に受け取れる総額のイメージをシミュレーターで把握する手順と注意点を、最新の制度内容を踏まえて解説するものです。ここで扱う金額はすべて概算であり、実際の支給可否や支給額・給付日数は、所轄ハローワークによる算定結果が優先されます。

まず短く結論(3行)

再就職手当は「基本手当の受給資格がある方が、待期満了後に早期に安定した職に就いた場合に支給される一時金」です。就職日の前日までに失業の認定を受けたうえでの「基本手当の支給残日数」と「基本手当日額」が分かれば、おおよその再就職手当額は計算できます。シミュレーターでは、基本手当(受給見込分)と再就職手当(見込額)を合わせて「最終受給額の概算」を確認します。

再就職手当の基本的な仕組み

再就職手当は、雇用保険の基本手当の受給資格がある方が、受給期間中に安定した職業に就いた場合に支給される「就職促進給付(就業促進手当)」の一つです。ここでいう「安定した職業」とは、原則として雇用保険の被保険者となり、1年を超えて勤務することが確実と認められる就職や事業開始を指します。

支給要件は複数あり、代表的なものは次のとおりです(実際はすべての要件を満たす必要があります)。

  • 受給資格決定(求職申込み)を行い、7日間の待期期間経過後に就職または事業を開始していること。
  • 就職日の前日までの失業の認定を受けたうえで、就職日前日時点の基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。
  • 1年を超えて勤務することが確実な雇用(またはこれに相当する事業)であり、原則として雇用保険の被保険者となっていること。
  • 離職した前の事業主に再び雇用されたものではなく、資本・資金・人事・取引面で密接な関係にある事業主への就職でもないこと。
  • 過去3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当を受けていないこと(事業開始に係る再就職手当を含む)。
  • 受給資格決定前から採用が内定していた事業主に雇用されたものではないこと。
  • 離職理由により給付制限を受けた方は、待期満了後1か月間については、ハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者の紹介により就職していること。

※上記は代表的な要件の整理であり、詳細な取扱いはハローワークでの最新の案内に従う必要があります。

最終受給額(概念式)と計算の前提

雇用保険の制度上、「基本手当」と「再就職手当」は性質の異なる給付ですが、生活資金の見通しを立てるうえでは、次のような「概念上の合計額」として整理すると分かりやすくなります。

最終受給額(概算)= 就職までに支給される基本手当の合計額 + 再就職手当の見込額(支給要件を満たす場合)

実務上のポイントは、次の3点です。

  • 「所定給付日数」そのものではなく、就職日前日時点での「基本手当の支給残日数(残り日数)」を正しく把握すること。
  • 支給残日数が所定給付日数の「3分の2以上」か「3分の1以上3分の2未満」かにより、再就職手当の支給率(70%または60%)が異なること。
  • 基本手当日額には年齢ごとの上限額があり、再就職手当もこの上限を前提に計算されること。

※基本手当日額の上限・下限、給付率などは毎年8月1日に見直されるため、シミュレーターの前提となる上限額や基準日も、実際に利用する時点の最新情報で確認する必要があります。

支給額の計算ルール(2025年度水準を前提とした概算)

再就職手当の支給額は、原則として次のように計算されます。

  • 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上ある場合
    ⇒ 再就職手当額 ≒ 支給残日数 × 70% × 基本手当日額
  • 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上3分の2未満の場合
    ⇒ 再就職手当額 ≒ 支給残日数 × 60% × 基本手当日額

※基本手当日額には年齢区分ごとの上限額があり、例えば2025年8月1日~2026年7月31日の期間では、60歳未満の方の基本手当日額の上限は6,570円、60歳以上65歳未満の方は5,310円とされています。実務では、この上限を踏まえてシミュレーター側で日額を抑制したうえで計算する必要があります。

なお、基本手当日額そのものは、離職前6か月の賃金総額(賞与を除く総支給額)を180で割った「賃金日額」に一定の給付率(概ね45~80%)を掛け、年齢区分ごとの上限・下限を反映して決定されます。シミュレーターでは、この賃金日額と給付率のテーブルも組み込んだうえで、自動的に基本手当日額を算出することが一般的です。

シミュレーターで“一発”で出すための実務ステップ

再就職手当まで含めた最終受給額を、できるだけ少ない入力で概算するためには、あらかじめ必要な情報を整理しておくことが重要です。以下は、実務でのヒアリングや入力で押さえておきたい流れです。

  1. 必要データを揃える(目安5分)
    シミュレーター入力前に、次の情報を準備しておくと、結果の精度が高まりやすくなります。
    ・直近6か月分の給与総支給額の合計(賞与は原則として除外)
    ・離職日(雇用保険の資格喪失日)と離職理由(自己都合・会社都合など)
    ・雇用保険の被保険者期間(離職票-2で確認)
    ・想定している就職予定日または転職スケジュール
    ・退職金の有無や金額(生活資金計画の参考情報として)
  2. 基本手当の概算を出す(1〜2分)
    シミュレーターに、離職前6か月の賃金総額と離職日、被保険者期間、離職理由、年齢などを入力し、次の情報を取得します。
    ・賃金日額と基本手当日額(上限・下限反映後の概算)
    ・所定給付日数(離職理由と被保険者期間に応じた日数)
    ・待期・給付制限を踏まえた受給開始時期の目安
    ・何も就職しなかった場合に支給され得る基本手当の総額のイメージ
  3. 就職予定日別に支給残日数を確認する(1分)
    就職予定日をシミュレーターに入力し、就職日前日時点での基本手当の支給残日数を確認します。ここでは、
    ・待期期間(7日間)
    ・自己都合退職等に伴う給付制限期間(原則1か月。一定の要件により2か月・3か月となる場合あり)
    ・実際の失業認定日
    などを前提に、現実的に残り得る日数を反映させることが重要です。
  4. 再就職手当に該当するかの判定と概算(1分)
    支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あり、かつ前述の支給要件(待期経過後の就職、1年以上の雇用見込み、前職との関係性、給付制限中の紹介元要件など)を満たし得るかを確認します。該当しそうな場合は、
    ・支給残日数が3分の2以上 → 支給率70%を適用
    ・支給残日数が3分の1以上3分の2未満 → 支給率60%を適用
    として、再就職手当額の概算をシミュレーターで計算します。
  5. 最終受給額(概算)をパターン比較する
    最後に、次のようなパターンごとに、基本手当(就職までに受け取る見込額)と再就職手当(見込額)を合算し、総額の違いを確認します。
    ・早めに再就職した場合(支給残日数が多く、再就職手当額が大きくなりやすい)
    ・ある程度基本手当を受け取った後に再就職した場合
    ・就職時期を1か月前後ずらした場合
    金額面だけではなく、ブランク期間やキャリアの観点も含めて検討材料とすることが望ましいです。
補足:自己都合退職などで給付制限がある方は、待期満了後1か月の期間中に自己応募のみで就職した場合、再就職手当の対象外となる可能性があります。この期間内は、原則としてハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者からの紹介による就職であることが要件とされているため、シミュレーター上も就職経路の前提に注意する必要があります。

具体的な計算例(簡易・概算イメージ)

以下は、制度の枠組みをイメージしていただくための簡易な例です。実際の給付額は、離職票等の内容に基づき、ハローワークで個別に算定されます。

前提条件補足
直近6か月の賃金総額(賞与除く) ¥1,440,000 月額24万円×6か月を想定
賃金日額(概算) ¥8,000 ¥1,440,000 ÷ 180日 ≒ ¥8,000
基本手当日額(概算) ¥5,000 賃金日額に給付率を掛け、上限・下限を反映した後のイメージ
所定給付日数 180日 年齢・被保険者期間・離職理由により個別に決定
就職日前日時点の支給残日数 120日 既に基本手当を60日分受給した後に就職したケース
就職までに受け取った基本手当 ¥5,000 × 60日 = ¥300,000 待期・給付制限経過後の実際の認定日数によって変動
再就職手当(支給率70%の場合) 120日 × 70% × ¥5,000 = ¥420,000 支給残日数120日が所定給付日数180日の3分の2以上に該当する想定
最終受給概算 ¥720,000 就職までの基本手当(¥300,000)+再就職手当(¥420,000)の合計

※上記は計算ロジックを示すための一例です。実務では、賃金日額の算出方法や給付率、年齢区分ごとの上限・下限、失業認定の状況などを踏まえて、ハローワークが正式な金額を決定します。

シミュレーターで“最終受給額の概算”を今すぐ確認する

離職前6か月の給与合計、離職日、年齢、被保険者期間、就職予定日などを入力することで、基本手当日額・所定給付日数の目安と、再就職手当を含めた最終受給額(概算)を確認できます。就職時期を少しずつ変えた複数パターンを試算し、資金計画や転職スケジュールの検討材料としてご活用ください。

再就職手当と就業促進定着手当の関係

早期に再就職し再就職手当を受けた場合、その後の賃金水準によっては「就業促進定着手当」の対象となる可能性もあります。シミュレーター上では直接の計算対象としない場合でも、制度として押さえておくと、従業員からの質問に回答しやすくなります。

  • 再就職手当を受給した方が、同じ再就職先で6か月以上継続して雇用されていること。
  • 再就職後6か月間の賃金(1日分の額)が、離職前の賃金日額を下回っていること。
  • 支給額は、賃金の低下分×再就職後6か月間の賃金の支払基礎日数を上限として、基本手当日額×支給残日数×20%の範囲内で算定されること。
  • 申請期間は、再就職した日から6か月経過した日の翌日から2か月間とされていること。

※就業促進定着手当の有無は、再就職先での賃金水準や在籍期間に左右されるため、この記事では「再就職手当までを含めた最終受給額の概算」を主眼に置いています。実際に再就職手当の支給を受けた後は、就業促進定着手当の要件もあわせて確認しておくとよいでしょう。

実務チェックリスト(試算の精度を高めるために)

再就職手当を前提とした試算では、入力条件や前提の違いで結果が大きく変わることがあります。以下の点を確認してからシミュレーターを活用すると、従業員への説明が行いやすくなります。

  • 離職票-2に記載されている離職理由と、シミュレーターに入力する離職理由区分(自己都合・会社都合等)が整合しているか。
  • 直近6か月の給与総額に含めるべき項目(残業代・通勤手当など)が、制度上の「賃金」に含める扱いと一致しているか。
  • 想定している就職先が、離職前の事業主や資本・人事面で密接な関係にある事業主ではないかを確認しているか。
  • 給付制限がある場合、待期満了後1か月以内の就職について、紹介元(ハローワーク・職業紹介事業者・自己応募等)を正しく把握しているか。
  • 就職日を、認定日の前後や1〜2週間ずらしたケースなど複数パターンで入力し、支給残日数と再就職手当額の変動を比較しているか。
  • シミュレーターの結果はあくまで「概算」であり、最終的な支給可否・金額・給付日数は所轄ハローワークでの決定に従うことを、従業員への案内文等に明記しているか。

複数パターンで「最終受給額のイメージ」を比べて検討する

再就職のタイミングや離職理由、退職金の有無などにより、基本手当と再就職手当を合わせた受給総額のイメージは大きく変わります。就職時期を数パターン入力して比較し、生活資金の確保とキャリアの方向性の両面から検討する材料としてお使いください。必要に応じて、当事務所の個別診断サービスもご案内可能です。

よくある質問(実務的な論点)

再就職手当を前提としたシミュレーションに関し、現場でよく受けるご質問と、その際に押さえておきたい観点を整理します。

Q1. 「最終受給額」は必ずこのとおり支給されるのか。

A. この記事で用いている「最終受給額」はあくまで概算であり、法的に保障されるものではありません。基本手当・再就職手当ともに、正式な支給可否と支給額・給付日数は、離職票などの提出書類や失業認定の状況、就職先の雇用条件等を踏まえて、所轄ハローワークが決定します。そのため、シミュレーター結果は「目安」「見込み」として扱う必要があります。

Q2. 自己都合退職の場合、いつ就職しても再就職手当の対象になるのか。

A. 自己都合退職等で給付制限がある方は、待期満了後1か月の期間中について、ハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者の紹介による就職でなければ、原則として再就職手当の対象外となります。この1か月を経過した後であれば、自己応募等による就職も含めて、他の要件を満たせば支給対象となる可能性があります。シミュレーションの際は、この「就職経路による制限」を前提条件として明記しておくことが重要です。

Q3. 途中で退職した場合、再就職手当は返還になるのか。

A. 再就職手当の支給後、一定期間内に再就職先を離職した場合の取扱いは、離職理由や在籍期間などにより異なります。場合によっては、支給額の一部返還や、その後の基本手当との調整が行われることもあります。この記事では詳細な返還ルールまでは取り扱っていないため、具体的な個別事例では、必ず最新の「雇用保険受給資格者のしおり」および所轄ハローワークの案内をご確認ください。

参考・公式リンク

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士) — 本稿は、再就職手当を含めた概算の出し方とシミュレーターの活用手順を、2025年度時点の雇用保険制度を前提として整理したものです。最終的な給付可否・金額・給付日数・給付制限の有無などは、所轄ハローワークの判断および最新の法令・通達等に基づき決定されます。制度改正や運用変更が行われることがあるため、実務での取扱いにあたっては最新情報をご確認ください。

📊 社労士監修|様々なシミュレーターをご用意

退職・出産・病気・給与・休暇など、ライフイベントに対応したシミュレーターをまとめてご利用いただけます。

関連記事

この記事へのコメントはありません。

カテゴリー
アーカイブ