就職予定日をずらすだけで変わる?日付別にシミュレーションして得する選択を判定

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就職予定日をずらすだけで変わる?日付別にシミュレーションして得する選択を判定
就職予定日をずらすだけで変わる?日付別にシミュレーションして得する選択を判定

就職予定日をずらすだけで変わる?日付別にシミュレーションして得する選択を判定

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士)

就職予定日を1日・1週間・1か月ずらすだけで、失業手当(基本手当)の失業認定の有無、支給残日数、再就職手当の要件充足状況などが変わることがあります。本稿では、雇用保険の公式ルールに沿って、日付別にシミュレーションする際の考え方と、実務上押さえておきたいチェックポイントを整理します。あくまで一般的な解説であり、最終的な給付の可否や金額は所轄ハローワークの判断によります。

まず短く結論(要点3つ)

  1. 認定日との兼ね合い — 就職日がいつかにより、「就職日前日までの失業認定を受けられるか」が変わり、その結果として支給残日数や再就職手当の要件充足に影響します。就職日が次回認定日前か後かで取り扱いが異なります。
  2. 賃金日額の算定期間 — 基本手当日額は、原則として離職前6か月の賃金総額を基に算定されますが、退職月の賃金締め・支払いのタイミングによって、算定対象となる月が変動する場合があります。就職日・退職日・賃金締日が接近しているケースでは注意が必要です。
  3. 再就職手当の条件 — 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること、1年以上雇用が見込まれること、就職日の前日まで失業認定を受けていること、など複数の要件を満たす必要があります。就職日をわずかにずらすことで要件を満たせるケースと、逆に外れてしまうケースがあります。

再就職手当は「基本手当の受給資格決定を受けたうえで、所定給付日数の3分の1以上の支給残日数を残して安定した職業に就職した場合」に支給され得るものです。手続を行っていない期間の離職については、原則として再就職手当を含む就職促進給付は受給できません。

雇用保険の基本的な流れと「日付」が効いてくる場面

就職予定日を検討する前提として、一般的な雇用保険(基本手当)の流れを簡潔に整理します。

  1. 離職(退職)
  2. ハローワークで求職申込・受給資格決定
  3. 7日間の待期期間(この間は支給なし)
  4. 自己都合等の場合の給付制限期間(原則1か月。ただし過去5年以内の自己都合離職回数等により3か月となる場合あり)
  5. 4週間ごとの「失業の認定」と基本手当の支給
  6. 受給期間満了または就職等による支給終了

この流れの中で、就職予定日が影響する主なポイントは次のとおりです。

  • 就職日が「どの認定日の前後に来るか」(前日までの失業認定を受けられるかどうか)
  • 就職前に何日分の基本手当を受給できるか(支給残日数がいくつ残るか)
  • 再就職手当や常用就職支度手当の要件(支給残日数、就職経路、雇用見込み等)を満たすかどうか

特に、自己都合退職で給付制限がかかっている方は、「待期満了後1か月間はハローワーク等の紹介による就職でなければ再就職手当の対象外」となる取扱いがあるため、就職日だけでなく就職経路にも注意が必要です。

日付別シミュレーションの実務フロー(簡潔)

  1. 現在の認定スケジュールを確認 — 雇用保険受給資格者証に記載された次回の失業認定日を確認します。就職日がこの「認定日より前か後か」で手続きと支給残日数が変わります。
  2. 就職予定日候補をいくつか設定 — 例として「即日」「1週間後」「翌月1日」など条件の異なる複数案を並べておきます。会社側の受入日や社会保険加入のタイミングとも整合を取ります。
  3. シミュレーターで各候補の日付を仮入力 — 所定給付日数・離職日・受給開始日・就職予定日などを入力し、支給残日数や再就職手当の概算額を比較します。あくまで概算であり、最終的な判断はハローワークの認定によります。
  4. 賃金日額への影響を整理 — 基本手当日額の算定根拠となる「離職前6か月の賃金総額」の対象期間に、どの月の賃金が入るかを確認します。退職月の締切日や未払賃金の有無などにより、計算対象が変わる可能性があります。
  5. 優先順位を社内・本人と共有 — 「できるだけ早く就職して収入の空白をなくしたい」のか、「再就職手当を含めてトータルの収入を重視するのか」など、本人の意向と会社側の採用スケジュールをすり合わせます。

シミュレーションはあくまで参考であり、「この日付にすれば必ず再就職手当が出る」と断定することはできません。支給要件を満たすかどうかは、就職先の雇用条件、就職経路、認定日の取り扱いなど、ハローワークによる個別の確認を経て決まります。

よくある“日付で変わる”ケース(実務的な例)

ケース日付差変化する可能性
認定日前に就職 就職日が次回認定日の数日前 原則として就職日の前日にハローワークで就職の申告を行う必要があり、その時点までの失業認定を受けます。就職日以降は基本手当の支給対象外となるため、早期就職により支給残日数が多く残り、再就職手当の対象となる可能性があります。一方、認定日を待たずに就職することで、直近の認定期間分の受給が少なくなることもあり得ます。
認定日をまたいで就職 認定日の翌日に就職 認定日に来所して前認定期間の失業認定を受け、その翌日を就職日とすることで、「認定期間分の基本手当を受給しつつ、支給残日数も一定程度残す」という形になりやすくなります。再就職手当の支給要件である「就職日前日までの失業認定」「所定給付日数の3分の1以上の支給残日数」などを満たしやすいケースです。
給付制限期間中の就職 待期満了直後〜1か月以内の就職 自己都合退職等で給付制限がある場合、待期満了後1か月間は、ハローワーク又は許可・届出のある職業紹介事業者の紹介による就職でないと再就職手当の対象外となる取扱いがあります。この期間中に自己応募で就職すると、支給残日数があっても再就職手当は支給されません。
賃金締め日の影響 末日締め/20日締め 等 基本手当日額の算定に用いる「離職前6か月の賃金」には、賃金締切日ベースの賃金額が用いられます。退職日と賃金締切日がずれている場合や、賞与・残業が集中した月の扱いなどにより、賃金日額が上下し、結果として基本手当日額や再就職手当の概算額に影響することがあります。

再就職手当の主な要件と「日付」の関係

再就職手当は、基本手当の受給資格者が早期に安定した職業に就いた場合に支給される就職促進給付です。主な支給要件(一般的な取扱い)は次のとおりです。

  • 就職日の前日までに失業の認定を受けていること
  • 就職日前日の時点で、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
  • 受給手続後の待期7日間が満了した後に就職したこと
  • 離職理由により給付制限がある場合、待期満了後1か月間はハローワーク又は許可・届出のある職業紹介事業者の紹介による就職であること
  • 1年を超えて継続して雇用される見込みがあること(原則、雇用保険の被保険者となること)
  • 離職前の事業主や、その関連会社に再就職したものでないこと
  • 過去3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと
  • 受給資格決定前から内定していた事業所への就職でないこと

就職日を1日ずらすことで、失業認定を1回多く受けられる場合や、逆に認定を受ける前に就職してしまい支給残日数が少なく見える場合などがあり、再就職手当の支給可否・金額に影響します。

支給額の計算式は、概ね次のとおりです(いずれも基本手当日額には上限額があります)。

  • 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上:支給残日数 × 70% × 基本手当日額
  • 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上:支給残日数 × 60% × 基本手当日額

再就職手当を受給した後、再就職先の賃金が離職前より低い場合には、条件を満たせば就業促進定着手当(賃金差額の一部補填)が支給され得ます。こちらも就職日と支給残日数が前提となるため、日付の整理が重要です。

実務チェックリスト(就職日を決める前に)

  • 雇用保険受給資格者証で「所定給付日数」「支給残日数」「次回認定日」を確認しておく。
  • 離職理由(自己都合か会社都合か、給付制限の有無)と、給付制限の期間・待期の満了日を把握しておく。
  • 直近6か月にどの給与月が含まれるか、給与明細・賃金締切日で確認する(賞与は原則として賃金日額に含めない点にも注意)。
  • 再就職先の雇用条件(雇用保険の被保険者となるか、1年以上の雇用見込みがあるか、就職日がいつか)を書面で確認する。
  • 就職日が土日祝・ハローワーク閉庁日に当たる場合、就職日前に必要な申告・認定ができるか確認する。
  • 自己都合退職等で給付制限がある場合、待期満了後1か月以内に就職するのであれば、就職経路(ハローワーク紹介か自己応募か)を整理する。
  • 就職日を前倒し/後ろ倒しすることによる「総受給額」「就職後の給与」「社会保険料・税負担」のバランスを概算で整理する。

日付を変えて即チェック — シミュレーター活用を推奨

就職予定日を複数パターン用意し、それぞれについて失業手当シミュレーターで所定給付日数・支給残日数・再就職手当の概算額などを比較すると、違いが視覚的に把握しやすくなります。あくまで概算ですが、「どのパターンが最も合理的か」を社内・本人で検討する際の材料として有用です。

判断のための簡易優先ルール(実務向け)

  1. 現金収入の確保を最優先する場合 — 基本的には就職日を早め、給与収入を途切れさせないことを重視します。この場合、再就職手当の支給残日数が少なくなったり、要件を満たさない可能性がありますが、「就職先が明確で、早期に安定収入を得ること」が本人の希望に合致するなら、あえて再就職手当を狙わないという選択肢も現実的です。
  2. トータル受給額を重視しつつ職選びをしたい場合 — 失業手当を受給しながら一定期間求職活動を行い、認定日を跨いで就職するパターンが候補となります。就職日を調整することで、支給残日数を3分の1以上(可能であれば3分の2以上)残したまま就職し、再就職手当の給付率60%または70%を適用できるかどうかを検討します。
  3. 賃金日額・社会保険等への影響も含めて最適化したい場合 — 退職日・賃金締切日・賞与の支給時期などを踏まえ、どの6か月が賃金日額の算定期間に入るかを整理します。賃金日額が高くなるような6か月を確保できれば、基本手当日額・再就職手当の概算額も高くなりますが、そのために就職時期を大きく遅らせることが合理的かどうかは、本人のキャリアや生活状況と合わせて慎重に検討する必要があります。

日付調整時に注意すべきリスク・留意点

就職予定日を調整する際には、次のようなリスクや留意点も把握しておくことが重要です。

  • 不正受給と疑われないようにすること — 実際には就職しているのに「就職していない」と申告して失業手当を受け続けることは、明確な不正受給です。発覚した場合、受給額の最大3倍相当の返還・納付が命じられ、刑事罰の対象となることもあります。
  • 離職票の離職理由の正確性 — 事業主側が自己都合・会社都合等の離職理由を意図的に変えることは、不正行為と評価されるおそれがあります。再就職手当の可否に影響するため、正確な理由区分で作成する必要があります。
  • 受給期間(原則1年)の制約 — 基本手当の受給期間は離職日の翌日から原則1年間であり、この期間を過ぎると所定給付日数が残っていても受給できません。就職日を大きく後ろ倒しすると、かえって給付を消化しきれないリスクがあります。
  • 本人の健康状態・家族状況 — 病気・けが・妊娠・出産・育児・介護などで長期に就労できない場合には、受給期間の延長など別の制度検討が適切なこともあり、「あえて就職日を遅らせる」だけでは解決しない場面が多くあります。
  • 就職先との信頼関係 — 再就職手当のためだけに就職日を大幅に動かすと、就職先の人員計画や社会保険加入手続きに影響が出ることがあります。調整が必要な場合は、あくまで正直に理由を説明した上で、双方が納得できる日付設定とすることが望ましいといえます。

迷ったら複数日で試算 → 条件を比較して選ぶ

就職予定日を1案に固定せず、「即日」「来週」「翌月初」など少なくとも3パターン程度を想定し、それぞれについて支給残日数や再就職手当の概算額、就職後の給与・社会保険料等の条件を比較しておくと、後から「知っていれば選び方が変わった」という後悔を減らしやすくなります。

なお、ここでの試算や説明は一般的なものであり、具体的な給付の可否・金額・日数は、管轄のハローワークでの審査・認定結果により決定されます。

参考・公式リンク

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士) — 本稿は日付別シミュレーションの考え方と実務チェックを目的とした一般的な解説であり、特定の事例について給付を保証するものではありません。最終的な給付可否・金額・給付日数は、所轄ハローワークの判断が優先されます。

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