30秒でわかる:退職給付金があっても失業手当はどれだけもらえる?

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30秒でわかる!!!!退職給付金があっても失業手当はどれだけもらえる?
30秒でわかる:退職給付金があっても失業手当はどれだけもらえる?

30秒でわかる:退職給付金があっても失業手当はどれだけもらえる?

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士)

本記事では、退職給付金(退職金)がある場合でも雇用保険の失業手当(基本手当)は 「まったく別枠」で算定されることを、できるだけ簡潔に整理しています。 退職金の金額や有無だけでは雇用保険の受給額は判断できません。 まずは離職前6か月の賃金から「おおよその日額・受給日数・受給開始時期」を把握することが重要です。 実際の支給可否・金額・給付日数は、離職票を基に所轄ハローワークが決定します。

30秒チェック(やることはこれだけ)

  1. 離職直前6か月分の「給与総額(額面)」をメモする。 一般的には、毎月決まって支払われた基本給や諸手当が対象で、賞与は含めません。 通勤手当なども賃金に含まれるのが原則ですが、細かい取扱いはハローワークで最終確認が必要です。
  2. 失業手当シミュレーターに 「年齢」「離職理由(自己都合・会社都合など)」「6か月分の賃金合計(または平均月収)」を入力する。 離職理由は、離職票の区分(特定受給資格者・特定理由離職者・一般離職者など)によって 給付制限や給付日数が変わるため、できるだけ実態に近い選択肢を選ぶことが大切です。
  3. 出力される「賃金日額の目安」「基本手当日額の目安」「所定給付日数」「支給開始予定日(待期・給付制限後)」を確認する。 あくまで概算であり、最終的な金額・日数は所轄ハローワークでの算定結果が優先されます。
ワンポイント:退職給付金(退職金)は会社ごとに就業規則・退職金規程等で定める任意制度です。 一方、失業手当(基本手当)は雇用保険法に基づく公的給付であり、 退職金の有無や金額にかかわらず、離職前6か月の賃金と被保険者期間・離職理由などから別個に算定されます。 退職金を多く受け取っても、そのことを理由に基本手当が減額されたり、受給資格を失うことは通常ありません。

「賃金日額」と「基本手当日額」の関係

雇用保険の失業手当は、まず「賃金日額」を求め、そこから「基本手当日額」を算定する仕組みです。 大まかな流れは次のとおりです。

  • 賃金日額: 離職日の直前6か月に「毎月決まって支払われた賃金」の合計を180で割った金額です。 時間外手当など変動部分を含むかどうかなど、正確な取り扱いは雇用保険の通達・実務に従って ハローワークが判断します。
  • 基本手当日額: 賃金日額に年齢区分・賃金水準ごとの給付率(おおむね45〜80%)を乗じて算定されます。 さらに年齢ごとの上限額・一律の下限額があり、 一定額を超える高賃金の方は上限額で頭打ちとなります。

給付率や上限・下限額は、毎月勤労統計に基づき毎年8月1日に見直されます。 したがって、同じ賃金水準でも、受給開始時期によって1日あたりの支給額がわずかに変動する場合があります。 実際に適用される額は、受給資格者証に印字される「基本手当日額」で確認することになります。

短い具体例(ざっくりイメージ)

以下は、あくまで「概算イメージ」です。 年齢区分・上限額・給付率の詳細、端数処理などは省略しており、 実際の支給額は離職票をもとにハローワークが算定した結果がすべてです。

ケース 直近6か月賃金合計 賃金日額(概算) 基本手当日額(概算) 月換算の概算(28日分)
月収20万円モデル ¥1,200,000 ¥6,667(1,200,000 ÷ 180日) 約¥4,000前後(年齢等で変動) 約¥112,000前後
月収25万円モデル ¥1,500,000 ¥8,333 約¥5,000前後(年齢等で変動) 約¥140,000前後
月収30万円モデル ¥1,800,000 ¥10,000 約¥6,000前後(年齢等で変動) 約¥168,000前後

※上記は、年齢が60歳未満で、かつ上限額に達していないケースを前提とした目安です。 年齢区分による上限額・下限額や、実際の賃金構成(時間外手当の有無など)により、 実際の額は前後します。

受給資格と「所定給付日数」の基本

受け取れる総額は「基本手当日額 × 所定給付日数」でおおまかに把握できます。 このうち、所定給付日数は次の要素で決まります。

  • 離職時の年齢
  • 雇用保険の被保険者であった期間(加入期間)
  • 離職理由(特定受給資格者・特定理由離職者・一般離職者など)

例えば、一般的な自己都合退職の場合は、 被保険者期間10年未満であればおおむね90日、 10年以上20年未満で120日、20年以上で150日といった水準が目安になります。 一方、倒産・解雇などの特定受給資格者や、一部の特定理由離職者に該当する場合は、 同じ加入期間でも所定給付日数が長めに設定されることがあります。

※「特定受給資格者」「特定理由離職者」に該当するかどうかは、 離職票に記載された事業主・本人の主張や提出資料を踏まえ、 ハローワークが総合的に判断します。 事業所側で離職理由を記載する際は、事実と異ならないよう慎重な記載が必要です。

給付開始までの流れと「待期・給付制限」

退職金の有無にかかわらず、失業手当を受け取るには、 離職後にご本人がハローワークで受給手続きを行う必要があります。 おおまかな流れは次のとおりです。

  • 離職 → 離職票の受領
  • ハローワークで求職申込み・受給資格の決定
  • 雇用保険受給者初回説明会への出席
  • 7日間の待期期間(この間は支給なし)
  • (自己都合退職等の場合は、原則1〜3か月の給付制限期間)
  • 4週間ごとの失業認定 → 基本手当の振込

自己都合退職など正当な理由のない離職の場合は、 待期満了日の翌日から一定期間(退職日の時期や過去の自己都合退職歴に応じて1〜3か月程度)、 給付制限として基本手当が支給されません。 倒産・解雇等の特定受給資格者や一定の特定理由離職者に該当する場合は、 通常この給付制限はかからず、待期7日の経過後に支給対象となります。

※給付制限期間の長さや、公共職業訓練受講時の取扱いなど、 時期によって取扱いが改正されています。 実際の待期・給付制限期間は、受給資格決定時に所轄ハローワークで必ずご確認ください。

注意点:退職給付金と混同しないで

  • 退職給付金は、会社の退職金規程等に基づいて支給される「一時金」または「年金形式」の給付であり、 税法上は退職所得や雑所得などとして課税されます。 一方、失業手当(基本手当)は一定の要件を満たす限り非課税所得とされており、 所得税・住民税の計算方法も退職金とは異なります。
  • 退職金は退職直後にまとまった金額を受け取るケースが多い一方で、 失業手当は「失業の状態にある各認定期間ごと」に分割して支給されます。 自己都合退職の場合は、待期・給付制限により最初の入金まで数か月空く可能性があるため、 退職金だけで生活設計を立ててしまうと、空白期間の資金繰りに支障が出ることがあります。
  • 転職が早期に決まった場合には「再就職手当」「就業促進定着手当」など、 失業手当とは別の就業促進給付を受けられる場合があります。 退職金があるからといって、これらの手当の対象外になるわけではありませんが、 再就職のタイミングや雇用形態の選択によって受給可否が変わるため、 あらかじめ制度の概要を押さえておく必要があります。
  • 65歳前から老齢厚生年金(特別支給を含む)を受給している方が失業手当を受給する場合、 雇用保険の給付側ではなく、年金側が一部または全部停止される取扱いとなることがあります。 年金受給者の方が退職される場合は、年金と雇用保険の両方の調整を事前に確認しておくことが重要です。
  • 特定受給資格者・特定理由離職者として認定された方は、 国民健康保険料(税)が軽減される制度の対象となる場合があります。 退職金や失業手当とは別枠の制度のため、 お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口での確認が必要です。

30秒で試算する

直近6か月分の給与明細と離職理由を手元に、 まずは失業手当シミュレーターで「日額」「支給日数」「受給開始時期」の概算を確認しておくと、 退職給付金とあわせたキャッシュフローのイメージがつかみやすくなります。 あくまで概算値ですが、空白期間の生活費や再就職までの期間を考えるうえでのたたき台になります。

再就職手当・就業促進定着手当との関係

退職給付金の有無にかかわらず、次の条件を満たして早期に再就職した場合には、 残っている失業手当の一部をまとめて受け取る「再就職手当」が支給されることがあります。 概要は以下のとおりです。

  • 待期7日が終わった後に就職したこと
  • 就職前日までの失業認定を受けたうえで、所定給付日数の3分の1以上の支給残日数があること
  • 1年以上継続して雇用される見込みがあること(雇用保険の被保険者となることが原則)
  • 離職前の事業主と密接な関係にある事業主等でないこと など

再就職手当の支給額は、支給残日数と基本手当日額に一定の給付率 (残日数が所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%)を乗じて算定されます。 なお、実際に支給されるかどうか、また支給額はいくらになるかは、 就職の内容や日付、残日数などを踏まえてハローワークが判断します。

また、再就職手当を受給したうえで、再就職先の賃金が離職前より下がった場合には、 一定の要件のもと「就業促進定着手当」が支給されることがあります。 これも退職給付金とは直接連動しませんが、 再就職の条件を検討する際の材料となります。

退職後の家計シミュレーションの考え方

退職金と失業手当を別々のものとして整理したうえで、 実際の家計シミュレーションを行う際には、次のような観点が重要になります。

  • 退職金の受取額(税引き後)と、いつ入金されるか
  • 失業手当の受給開始予定日(待期・給付制限を反映)と、おおよその月次受給額
  • 所定給付日数がどのタイミングで尽きるか(受給期間1年の範囲内で消化できるか)
  • 再就職の目安時期(何か月以内を想定しているか)
  • 社会保険(健康保険・年金)の切替えと保険料の負担見込み
  • 住民税・所得税など、翌年以降に発生する税負担のタイミング

これらを一覧にしておくことで、 「退職金の一部は当面の生活費に充て、失業手当と年金・貯蓄でどの程度カバーできるか」 といった具体的な資金繰りのイメージが持ちやすくなります。 企業としては、対象の従業員に制度の概要を説明する際、 「退職金だけでなく、雇用保険の仕組みも合わせて確認してください」と案内しておくと、 退職後のトラブル防止につながります。

一言アドバイス(社労士より)

退職給付金があると一時的には安心しやすいのですが、 「いつ・いくら入るのか」「失業手当はいつから・どの程度入るのか」を整理しないまま退職すると、 数か月後に想定外の資金不足が生じるケースが少なくありません。 また、早期再就職をした場合の再就職手当など、 雇用保険の各種給付はタイミングや就職形態で受給可否が変わります。 退職前から、退職金と失業手当を切り分けて数字を出し、 時系列のキャッシュフローをイメージしておくことが重要です。

まずは数字で確認 → 次の一手を決める

退職給付金の見込額と並行して、 失業手当シミュレーターで概算の日額・給付日数・受給開始時期を確認しておくことで、 「いつまでにどの程度の条件で再就職したいか」を検討しやすくなります。 シミュレーターはあくまで目安ですが、 ハローワークでの正式な算定を受ける前の事前検討には有用です。

参考・公式リンク

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士)
本記事は、退職給付金と雇用保険の基本手当との関係について、 一般的な考え方を整理したものです。 個別の給付可否・金額・給付日数・給付制限の有無等については、 離職票等の内容や具体的な事情に応じて所轄ハローワークが判断します。 実際に退職を検討される際や、個別事案の取り扱いについては、 最新の法令・通達およびハローワークで配布されるパンフレット等をご確認ください。

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