うつ病で仕事を続けられなくなり、「自分は失業保険をもらえないのでは?」と不安になる方は少なくありません。
しかし、これは大きな誤解です。
うつ病であっても、条件を満たしていれば失業保険を受け取ることは可能であり、むしろ正しい手続きを行うことで200万円以上を受け取れた方も実際にいます。
知らないまま手続きを進めてしまうと、受給開始が遅れたり、本来もらえるはずの金額が減ってしまうこともあります。
この記事では、うつ病と失業保険の正しい関係、受給できないケース、会社都合扱いにする方法など、損を防ぐ重要ポイントをわかりやすく解説します。
目次
うつ病でも失業保険はもらえる!知らないと損する給付の仕組み
うつ病で仕事を続けられなくなった方の中には、「病気だから失業保険はもらえないのでは?」と不安に感じる方が多くいます。
しかし、これはよくある誤解です。結論から言うと、うつ病でも条件を満たしていれば失業保険を受け取ることは可能です。
正しい知識を持っていないと、本来もらえるはずの給付を逃してしまう場合があるため、仕組みを理解しておくことがとても大切です。
「うつ病だと失業保険がもらえない」は誤解である理由
まず、「うつ病だと失業保険がもらえない」という誤解が生まれる理由は、失業保険には「働く意欲と能力があること」という条件が含まれているためです。
失業保険は、仕事を探しながら生活を支えるための制度であり、「働ける状態にある方」を対象に作られています。
しかし、ここで言う「働ける状態」は、必ずしも完全に元気であることを意味しません。軽度のうつ病など、日常生活はできるが以前のような働き方は難しいという状態の方でも、医師の判断や本人の意欲に応じて受給できるケースが多くあります。
失業保険の基本的な受給条件とは
次に、失業保険の基本的な受給条件について整理しておきます。失業保険を受け取るには、以下3つが重要です。
離職前に雇用保険へ加入していた期間が一定以上あること(通常12か月以上)
失業状態であること(仕事をしていない、収入がほとんどない状態)
働く意思と能力があると認められること
うつ病であっても、医師から「軽い仕事なら可能」と言われていたり、「改善したら働きたい」という意思がある場合は、この条件を満たすことができます。そのため、うつ病だからといって自動的に受給できない、ということはありません。
ただし、うつ病の症状レベルによって、適用される制度が変わる点には注意が必要です。
症状が軽度の場合は、通常の失業保険として受給することが可能です。ハローワークで求職活動を続けながら、健康状態に無理のない範囲で就職先を探していく流れになります。
うつ病の症状レベルによって受給方法が変わる
一方で、症状が重く働くことができない状態の場合は、失業保険ではなく「傷病手当金」や「傷病手当(失業給付の特例)」へ切り替えて受給する方法があります。
これは、働くことができない状況の方を対象にした制度で、最大で1年6か月の給付を受けられる場合があります。
また、失業保険の仕組みには「受給期間の延長」という救済制度もあります。もし、うつ病で働くことが難しく失業保険をすぐに受け取れない場合は、最大3年間まで受給開始を延期できます。
これにより、症状が安定してから失業保険を受け取ることができ、給付の権利を失う心配もありません。
このように、うつ病でも失業保険を受け取る方法はいくつもあります。
大切なのは、「自分の症状に合った制度を選ぶこと」と「早めにハローワークに相談すること」です。うつ病という理由だけで諦めてしまうと、本来受け取れた給付を逃してしまうことになります。
うつ病で失業保険がもらえないケースを3つのパターンで解説
うつ病でも失業保険を受け取れるケースは多くありますが、条件に合わない場合は受給できなくなることもあります。
ここでは「どんな場合に失業保険がもらえないのか」を3つのパターンに分けて、わかりやすく説明します。
うつ病で退職した方ほど制度を誤解しやすいため、当てはまる点がないか確認しておくことが大切です。
給付制限がかかる自己都合退職の注意点
まず1つ目は「自己都合退職で、給付制限がかかってしまうケース」です。うつ病で退職した場合でも、会社から正式に「会社都合」と認められていなければ、多くは自己都合退職として扱われます。
自己都合退職になると、通常2〜3か月の給付制限期間が発生し、その間は失業保険を受け取ることができません。うつ病で生活が不安定な方にとって、この無収入期間は大きな負担になります。
さらに注意したいのは、退職理由が正しく処理されていないケースです。本来は労働環境の悪化や健康上の問題による退職で会社都合扱いにできる場合でも、誤って自己都合として記載されることがあります。
この場合は、離職票の訂正を依頼することで受給条件が改善される可能性があります。
雇用保険の加入期間不足で受給できない場合
2つ目は「雇用保険の加入期間が足りていないケース」です。失業保険は、過去2年間のうち12か月以上、雇用保険に加入している方が対象になります。
例えば、短期間だけ働いた方や、週20時間未満の勤務で雇用保険に加入していなかった方は、加入期間が不足し受給資格が得られないことがあります。
特にアルバイトやパート勤務の方は「自分が雇用保険に入っていたのか分からない」という場合も多いため、離職票や給与明細、会社の総務担当に確認してみることが大切です。
加入条件を満たしていたのに会社が加入手続きをしていなかったというケースもあるため、不安がある場合はハローワークに相談するのがおすすめです。
就労可能な状態でないと判断されるケース
3つ目は「就労可能な状態ではないと判断された場合」です。失業保険は“仕事を探す意欲と能力がある方”に支給される制度のため、うつ病の症状が重く、働くことが難しいと判断されると、通常の失業給付は受け取れません。
しかし、これは決して不利という意味ではありません。働けない状態の方は「傷病手当金」や「失業給付の受給期間延長制度」を利用できるため、別の制度で支援を受けることが可能です。
特に受給期間の延長制度は重要で、最大3年間、失業保険の受給開始を遅らせることができます。症状が落ち着いて働ける状態になった時点で、失業保険を受け取ることができる仕組みです。
「うつ病による退職」を会社都合にする方法
うつ病が原因で退職する場合、「自分で辞めたから自己都合になるのでは?」と思ってしまう方が多いですが、実は正しい条件を満たせば会社都合扱いにできることがあります。
会社都合になると給付制限がなく、最短で受給が始まり、受給期間も長くなる可能性があります。ここでは、うつ病による退職を会社都合にできる方法を3つのポイントに分けてわかりやすく説明します。
特定理由離職者として認められる条件
うつ病で退職した方が会社都合扱いに近い形で失業保険を受け取る方法として「特定理由離職者(特定理由離職者2)」という区分があります。
これは、働き続けることが難しい事情が本人にあった場合に適用される制度で、実質的に会社都合と同じ条件で受給できます。
特定理由離職者と認められる代表的な条件は以下の通りです。
うつ病などの病気で働くことが困難になった
医師から就労制限の指示が出ている
会社が健康状態への配慮を行えず、勤務継続が難しかった
本人都合で辞めたように見えても、「健康上の理由」で働けなかった場合、特定理由離職者として扱われる可能性があります。
医師の診断書で会社都合扱いになるケース
うつ病による退職で最も重要なのが「医師の診断書」です。ハローワークは事実に基づいて退職理由を判断するため、診断書があると病気が原因で働けなかったことを証明しやすくなります。
診断書で特に重要なのは次の点です。
就労困難、または就労禁止の指示がある
業務内容や環境が症状の悪化原因として記載されている
長時間労働や職場ストレスにより悪化した事実が示されている
これらの内容がある診断書を提出すると、自己都合ではなく「会社の配慮不足による退職」と判断される可能性が高まります。つまり、会社都合扱いまたは特定理由離職者として取り扱われる可能性が出てきます。
給付制限なしで受給するためのポイント
うつ病で退職した方が給付制限なしで早く失業保険を受け取るには、次のポイントを押さえることが大切です。
① 退職理由を正しく伝える
退職時の面談で「一身上の都合」などと曖昧に伝えてしまうと、自己都合で処理されてしまいます。健康上の問題で働けなかったことを具体的に伝えることが重要です。
② 離職票の記載を必ず確認する
離職票に「自己都合」と書かれていると不利になります。健康上の理由で働けなかった場合は、修正依頼やハローワークの判断で変更できる場合があります。
③ 診断書や通院記録を提出する
医療機関の記録は最も強い証拠です。症状が悪化した時期、就労不可の判断などを証明することで、会社都合扱いに近い区分へ変更される可能性が高まります。
在職中から準備すべき失業保険申請の手順
うつ病が原因で退職を考えている方は、退職後にスムーズに失業保険を受け取るために、在職中から準備しておくことがとても大切です。
準備をしないまま退職してしまうと、受給までに時間がかかったり、必要な書類が不足したりして、損をしてしまう可能性があります。ここでは、在職中から取り組むべき3つの重要な手順をわかりやすく解説します。
雇用保険の加入期間を確認する方法
まず最初に確認すべきなのは「自分が雇用保険に加入しているかどうか」です。失業保険を受け取るためには、過去2年間のうち12か月以上、雇用保険に加入している必要があります。
加入状況を確認する方法は次の3つです。
給与明細に「雇用保険料」が引かれているか確認する
会社から配布された「雇用保険被保険者証」を探す
総務・人事担当の方に直接質問する
もし、自分の勤務条件が加入基準(週20時間・31日以上の雇用見込み)を満たしていたのに、会社が手続きをしていなかった場合は、さかのぼって加入できるケースもあります。不安な場合は早めに確認しておきましょう。
医師の診断書を取得するタイミング
うつ病による退職を会社都合扱い(または特定理由離職者)に近づけるためには、医師の診断書が非常に重要です。
診断書は「仕事を続けることが難しい状態である」ことを証明する書類であり、退職理由を適切に扱ってもらうための大切な資料になります。
診断書を取得するタイミングの目安は以下の通りです。
退職を決意する前
症状が続いており、勤務が困難だと感じた時
主治医に相談し、就労制限が必要と判断された時
診断書には、就労不可・就労制限・症状悪化の原因などが記載される場合があります。この記録があることで、ハローワークが退職理由を判断しやすくなり、給付制限なしで失業保険を受け取れる可能性が高まります。
退職前に会社へ伝えるべき内容
退職を決めたら、会社へ伝える内容も重要です。曖昧な伝え方をしてしまうと、離職票に誤った退職理由が記載され、「自己都合扱い」になってしまう恐れがあります。
伝えるべきポイントは次の3つです。
うつ病の症状が悪化し、勤務継続が難しいこと
医師から就労制限や休職の指示があること
労働環境が症状の悪化につながっている可能性があること
退職理由は丁寧に説明し、「健康上の理由で働けない」という点を明確に伝えることが大切です。
離職票に「病気や心身の不調による退職」と記載されれば、特定理由離職者として扱われる可能性が高まり、給付制限なしで最短の受給が可能になります。
退職後の失業保険申請で失敗しないためのポイント
退職後に失業保険を確実に受け取るためには、手続きの流れを正しく理解し、必要な準備を整えることがとても大切です。
特に初めて手続きを行う方は、書類の不足や活動実績の不備によって受給開始が遅れることが少なくありません。ここでは、失業保険申請で失敗しないための3つのポイントをわかりやすく解説します。
必要書類
失業保険の申請では、ハローワークで求職申込みを行う際に複数の書類が必要となります。提出に不備があると手続きが進まず、受給までの期間が遅れてしまうため、事前にチェックすることが重要です。
主な必要書類は以下の通りです。
離職票(1・2)
雇用保険被保険者証
本人確認書類(マイナンバーカードなど)
写真(証明写真)
通帳またはキャッシュカード
これらをそろえておくことで、初回手続きをスムーズに進められます。
求職活動の実績を作る方法
失業保険を受け取るには、「仕事を探している」という実績が必要です。これは“求職活動実績”と呼ばれ、月2回以上の実績を作ることが原則となります。
実績として認められる主な活動は次の通りです。
ハローワークでの職業相談
求人への応募
就職セミナーの受講
履歴書添削や模擬面接の利用
民間の転職エージェントでの相談
応募をしなくても、相談やセミナーだけで実績を作れるため、症状が落ち着いていない方でも無理なく対応できます。
実績が不足していると、その期間の給付が止まってしまうため、カレンダーなどで計画的に行動することがポイントです。
申請期限と振込までのスケジュール
失業保険には“申請期限”はありませんが、受給できる期間は「離職日の翌日から1年間」と決められているため、申請が遅れるほど実際に受け取れる日数が減ってしまいます。
手続きの基本的な流れは次の通りです。
ハローワークで求職申込み
待期期間7日
説明会(雇用保険説明会)
認定日(1回目の認定)
振込開始(会社都合なら最短1か月)
このスケジュールを知らずにいると、「まだ振り込まれない」「申請が進んでいなかった」などのトラブルが起こりやすくなります。
退職アシスタントを利用するメリットと実績

失業保険の申請は、手続きが多くて不安に感じる方も多いものです。
そんな時に心強い存在が「退職アシスタント」です。
このサービスを利用すると、退職後の手続きを一人で抱え込まず、専門の方に安心して任せることができます。
書類作成から申請まで全てお任せできる安心感
まず大きなメリットは、「書類の作成から申請まで、全て代行してもらえること」です。
離職票のチェック、申請書類の準備、ハローワークへの提出内容の確認まで、細かい部分もサポートしてもらえるため、初めての方でもスムーズに手続きを進められます。
「何から始めていいのかわからない」「書類の書き方に自信がない」という方でも、専門家のサポートがあることで安心です。
受給額が最大化できる理由
さらに、「受給額を最大限にできる工夫」もこのサービスの強みです。実は、失業保険の金額は申請時の内容や提出方法によって変わることがあります。
退職アシスタントでは、これまでの経験をもとに、正しく・有利に受け取るためのアドバイスをしてもらえるため、「本来もらえるはずの金額より少なくなってしまった」という事態を防ぐことができます。
利用者の成功事例と受給実績
実際に利用した方の中には、「自分一人では給付制限がかかってしまうところを、会社都合退職として扱ってもらえた」「もらえるか不安だったけれど、診断書の提出や申請内容の調整で受給できた」など、成功例が多くあります。
中には100万円以上の受給につながった方もいて、その実績は確かなものです。
退職やうつ病などの理由で仕事を辞める時は、心も体も不安定になりやすく、複雑な手続きを一人でこなすのは負担が大きいです。そんな時こそ、プロのサポートを活用して、自分にとって一番良い形で申請を進めていくことが大切です。
退職アシスタントを使うことで、手間も不安も減らせるだけでなく、しっかりと失業保険を受け取る可能性が高まります。
うつ病と失業保険に関するよくある質問
うつ病で退職した方は、不安や疑問を抱きやすく、間違った情報のまま手続きを進めてしまうこともあります。
ここでは、特に多い5つの質問について、できるだけわかりやすく解説します。
退職後すぐに失業保険を受け取れますか?
うつ病で退職した場合でも、退職理由や状況によっては最短で受給を開始できます。
ただし、どの方も共通して「待期期間の7日間」は必要です。
会社都合や特定理由離職者に該当する場合
自己都合退職の場合
うつ病による退職の場合、医師の診断書などを用意すれば「特定理由離職者」と認められるケースが多く、給付制限なしで早期に受給できる可能性があります。
会社に知られずに手続きできますか?
はい、できます。
失業保険の申請は退職後にご自身とハローワークの間で行われるため、会社に通知がいくことはありません。
ただし例外として、離職票の内容(退職理由)に誤りがある場合、ハローワークが会社へ確認することがあります。これは申請のために必要な手続きであり、個人的な事情を詳しく伝えられることはありません。
パートやアルバイトでも対象になりますか?
対象になります。ただし、次の条件を満たす必要があります。
雇用保険に加入していること
過去2年間で12か月以上加入していること
パート・アルバイトの方でも、週20時間以上働いていれば雇用保険に加入できるため、多くの方が受給対象となります。
もし加入していなかった場合でも、「本来加入できたはずなのに会社が手続きをしていなかった」というケースもあるため、不安な方はハローワークに相談すると良いでしょう。
うつ病で休職中でも失業保険はもらえますか?
休職中は失業保険を受け取れません。理由は、休職中は「会社との雇用関係が続いている」状態だからです。
ただし、復職できず退職した場合は受給対象になります。その際、うつ病で働けない状況が続いている方は「受給期間延長制度」を使うことができます。
この制度を使えば、最大3年間、失業保険の受給開始を先延ばしできるため、症状が落ち着いてから安心して受給を始められます。
再就職手当は転職先が決まってからでも間に合いますか?
はい、間に合います。ただし条件があります。
再就職手当は「失業保険の受給中に再就職が決まった方」に支給される給付金です。そのため、以下の条件を満たす必要があります。
失業保険の受給がスタートしている
一定の残日数がある状態で再就職する
ハローワークまたは職業紹介を通して就職活動をしている
つまり、離職票を提出せず手続きをしていないまま就職してしまうと、制度の対象外になります。再就職手当を受け取りたい方は、転職が決まっていなくても、まずは失業保険の申請をしておくことが重要です。
まとめ:うつ病だと失業保険がもらえないのは違う

うつ病で退職した場合でも、失業保険は正しい手順を踏めばしっかりと受け取ることができます。症状が軽い方は通常の失業給付、働けない方は傷病手当金や受給期間延長制度など、その方に合った制度が用意されています。
また、退職理由を「健康上の理由」として適切に伝えることで、会社都合扱いや特定理由離職者となり、給付制限なしで早く受給できる可能性も高まります。
誤解や思い込みで申請しないと、大きな損につながることもあります。迷った時は早めに専門家やハローワークへ相談し、受け取れる給付を確実に受け取ることが大切です。
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