退職後すぐ仕事を始めるか迷ってる?失業手当+退職給付金で得する選択を診断

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退職後すぐ仕事を始めるか迷ってる?
退職後すぐ仕事を始めるか迷ってる?失業手当+退職給付金で得する選択を診断

退職後すぐ仕事を始めるか迷ってる?失業手当+退職給付金で得する選択を診断

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士)

本記事では、退職後に「すぐ働き始めるか」「一定期間は雇用保険の失業手当を受けながら求職活動を行うか」を検討するときの考え方を整理します。雇用保険の基本手当(以下「失業手当」と表記します)は、退職すれば必ず受けられるものではなく、離職理由や被保険者期間など、法令で定められた要件を満たす必要があります。また、退職給付金(退職金)は会社が任意に設ける制度であり、支給の有無や金額は就業規則・退職金規程によって異なります。

ここで紹介する内容は、制度の一般的な仕組みに基づく「考え方」の整理であり、特定の方の受給権や給付額を保証するものではありません。実際の受給資格や給付内容は、必ず所轄のハローワークおよび勤務先の就業規則・退職金規程でご確認ください。

前提:失業手当と退職給付金の基本ルール

雇用保険の失業手当(基本手当)の位置づけ

雇用保険の基本手当は、離職した方が「就職したいという意思」と「いつでも就職できる能力(健康状態・家庭状況など)」を持ち、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず職に就けない場合に、生活の安定と再就職活動を支援するために支給されるものです。退職さえすれば誰でも受け取れる性質のものではなく、次のような要件を満たしている必要があります。

  • 離職しており、原則として就職の内定・決定がないこと
  • 積極的に求職活動を行っていること
  • 雇用保険の被保険者期間が、離職前の一定期間(通常は2年間)に所定月数以上あること

※家事に専念する方や、すぐに働くことができない病気・けが・妊娠・出産・育児等の理由で就職できない方は、「失業」の状態に該当せず、原則として基本手当の対象外となります。

退職給付金(退職金)の基本

退職給付金(退職金)は、法律で支給義務が定められているものではなく、会社が任意に制度を設けている場合にのみ支給されます。支給の有無・金額・支給時期・支給条件(自己都合退職と会社都合退職での差異など)は、各社の就業規則や退職金規程で異なります。退職を予定している従業員に説明する際は、必ず自社の規程に基づいて書面で確認することが重要です。

ここで扱う「退職給付金」は、会社独自の退職金制度や中小企業退職金共済など、企業が負担して支給する退職一時金・年金全般を指します。公的年金や厚生年金基金等は別制度となります。

診断の結論(大枠の考え方)

具体的な金額や要件は人によって異なりますが、一般的な整理としては次のように考えることができます。

短期的に生活費が不足する恐れがある場合:
・退職給付金の一部を当面の生活費として確保しつつ、失業手当で毎月の不足分を補うイメージで資金計画を立てる方法が検討材料になります。
・ただし、失業手当には受給できる期間(原則:離職日の翌日から1年間)や給付日数の上限があるため、その範囲内での設計が必要です。

貯蓄に余裕があり、条件の良い職を時間をかけて探したい場合:
・要件を満たしていれば失業手当を受給しながら求職活動を行う選択が合理的な場合があります。
・退職給付金は、老後資金や将来の大きな支出(教育資金・住宅関連費用など)として温存し、生活費は失業手当と手元資金で賄う設計も考えられます。

※いずれの場合も、「いつまでに再就職する想定か」「その間の生活費はいくら必要か」を数値で整理することが前提となります。

診断フロー(3ステップで整理する)

  1. 必要な数値を集める(目安:5分)
    ・退職前6か月の給与総額(雇用保険の賃金日額計算の基礎。賞与は含まれません)
    ・現在の毎月の生活費(家計の固定費+変動費)
    ・退職給付金(退職金)の見込額・支給予定日・受取方法(一時金か年金か等)
  2. 失業手当の受給見込みを把握する(目安:3分)
    ・年齢・離職理由・雇用保険の被保険者期間などを基に、概算で「基本手当日額」「所定給付日数」「受給開始の目安時期」を把握します。
    ・シミュレーターを利用する場合も、あくまで概算であり、最終的な決定はハローワークで行われることをあらかじめ説明しておくと誤解が生じにくくなります。
  3. 「生活費−失業手当」で不足額を算出する
    ・(毎月の生活費 − 失業手当の概算月額)× 想定する無収入期間(月数)を計算します。
    ・その不足額を、退職給付金や既存の貯蓄で無理なくカバーできるかどうかを確認します。カバーが難しい場合は、再就職の時期を早める、短時間就労を検討するなどの選択肢も整理します。

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年齢・退職前6か月の賃金・離職理由などを入力すると、雇用保険の失業手当について、おおよその「日額」「所定給付日数」「受給開始時期」の目安を試算できます。実際の給付内容は、離職票などに基づきハローワークが決定するため、シミュレーター結果はあくまで参考値としてご利用ください。

雇用保険の実務ポイント(法令面の整理)

受給開始までの流れと給付制限

一般的な失業手当の手続きは、次の順序で進みます。

  • 離職(退職)
  • ハローワークで求職申込・受給資格の決定
  • 雇用保険受給者説明会への出席
  • 待期期間(7日間)の経過
  • 必要に応じて給付制限期間の経過
  • 4週間ごとの失業認定と基本手当の支給

・待期期間中は失業手当は支給されません。
・自己都合退職等の場合は、待期期間後に一定期間(原則1〜3か月)の給付制限が設けられることがあります。給付制限の長さは、離職理由や過去の自己都合退職歴等により異なります。
・法令改正により給付制限期間が変更されることがあるため、最新の取扱いは厚生労働省やハローワークの案内をご確認ください。

「失業」の状態に該当しないケース

失業手当を受給するには、「働く意思と能力があり積極的に求職活動をしている」ことが必要です。例えば次のような場合、原則として失業手当の対象になりません。

  • 次の就職先が既に決まっている場合
  • 家事・学業に専念している場合
  • 自営を開始、又は自営準備に専念している場合
  • 病気・けが・妊娠・出産・育児等で、すぐに働けない場合

※病気や出産・育児等で30日以上働けない状態が続くと見込まれる場合は、「受給期間の延長」を申請できることがあります。この場合、「給付日数」が増えるわけではなく、「受給できる期間(原則1年)」が最長で数年程度まで延長される仕組みです。

退職後の生活設計で比較すべきポイント

  • 支給タイミング
    ・退職給付金が実際に振り込まれる時期(退職後○か月後など)は就業規則・退職金規程で定められています。
    ・失業手当は、求職申込後の待期期間・給付制限期間を経たうえで、4週間ごとの認定後に振込まれます(指定口座にまとめて振込)。初回の振込までに1か月以上かかることも多いため、無収入期間がどの程度発生するかを把握しておく必要があります。
  • 合計手取り額
    ・退職給付金(一時金の場合は所得税法上の退職所得として課税)と、失業手当(雇用保険からの非課税給付)のそれぞれの手取り見込みを確認し、トータルの現金収入を整理します。
    ・退職給付金は会社ごとの制度により、自己都合退職・会社都合退職で支給率が異なる場合があります。
  • 再就職手当の可能性
    ・失業手当の受給中に早期に再就職した場合、一定の要件を満たせば「再就職手当」が支給されることがあります。
    ・要件の一例として、待期期間満了後の就職であること、所定給付日数のうち一定以上の日数が残っていること、1年以上継続して雇用される見込みがある雇用であることなどが挙げられます。
    ・給付制限がある自己都合退職の場合、制限期間中の就職で再就職手当の対象となるには、ハローワークや職業紹介事業者の紹介による就職が必要となる期間が設けられています。
  • キャリア・年収の中長期的な影響
    ・短期的な給付額だけでなく、「条件に妥協して早期に就職する場合」と、「時間をかけて希望条件に近い職を探す場合」で、数年後の年収やキャリア形成にどのような違いが出るかも検討材料となります。

簡易ケーススタディ(イメージ)

下表は、制度の一般的な水準を前提としたイメージであり、実際の給付額や給付日数を示すものではありません。具体的な金額は、各人の賃金額・年齢・被保険者期間・離職理由等により異なります。

モデル 退職給付金(例) 失業手当(概算/月のイメージ) 検討の方向性(例示)
単身・年収300万円台前半(貯蓄少) ¥200,000 ¥90,000前後 ・退職給付金の一部を当面の生活費として確保し、不測の支出にも対応できるようにする。
・失業手当で毎月の基本的な生活費の一部を補いながら、一定期間内の再就職を前提に求職活動を行う。
・無収入期間が長期化しそうな場合は、短時間就労や短期雇用等の選択肢も整理する。
世帯持ち・年収500万円台(世帯として貯蓄余裕あり) ¥1,000,000 ¥200,000〜¥250,000前後 ・世帯全体の生活費・貯蓄状況を踏まえつつ、失業手当を活用しながら条件に見合う求人を時間をかけて検討する。
・退職給付金は老後資金や教育資金など中長期の用途に充てる前提とし、日々の生活費は失業手当+既存貯蓄でまかなう設計も検討する。

判断を助ける実務チェックリスト(退職前)

退職を申し出る前に、以下の項目を社内で整理しておくと、従業員からの相談にも法令や社内規程に沿って対応しやすくなります。

  • 退職予定者の雇用保険加入状況(被保険者期間・離職理由)を確認しておく。
  • 直近6か月の給与総額を把握する(雇用保険上は、残業代等を含む賃金総額が基礎。賞与は含まれません)。
  • 退職給付金(退職金)の有無・計算方法・支給予定日・受取方法を就業規則等で確認し、必要に応じて書面で本人に案内する。
  • 失業手当の見込み(基本手当日額の概算・所定給付日数・給付制限の有無)について、ハローワークでの説明を受けるよう案内するとともに、シミュレーターでの概算計算が参考情報であることを伝える。
  • 再就職手当など、雇用保険の追加給付制度(就業促進関連給付)の存在と概要を共有する。
  • 一定期間の無収入または収入減少に備え、退職者本人が検討すべき代替案(短時間就労、親族からの一時的支援、金融機関からの借入等)があることを説明する。

「いつまでに再就職するか」を数値で整理する

感覚だけで「早く働いた方がよい」「しばらく休みたい」と判断すると、後から生活費や保険料の負担が想定より重くなることがあります。退職前に、失業手当の受給見込み(概算)と退職給付金の内容を確認し、「何か月程度の求職期間を想定するか」「その間の生活費をどのように賄うか」を数値で整理しておくことが重要です。

よくある質問(FAQ)

  • Q:退職金を先に受け取ると、雇用保険の失業手当は受けられなくなりますか?
    A:退職金の受取り自体を理由に、雇用保険の受給資格が消滅することはありません。失業手当は、離職理由や雇用保険の被保険者期間、「失業」の状態にあるかどうか等で判定されます。ただし、退職金は生活費の原資ともなり得るため、実務上は「どの程度の期間、失業手当に頼る必要があるか」を検討する際に影響します。
  • Q:再就職手当はどのような場合に支給されますか?
    A:失業手当の受給資格がある方が、待期期間満了後に早期に安定した職に就いた場合で、次のような要件をすべて満たすときに支給される制度です。代表的な要件としては、
    ・就職日の前日までの失業認定を受けており、基本手当の残日数が所定給付日数の一定割合(1/3以上など)以上残っていること
    ・1年以上継続して雇用される見込みがある就職であること
    ・離職前の事業主や、その関連会社に再就職したものでないこと などが挙げられます。
    給付制限のある自己都合退職の場合、制限期間中の就職については「ハローワークや職業紹介事業者の紹介による就職」であることが要件となる期間があります。詳細な要件や取扱いは、必ず所轄ハローワークで確認してください。
  • Q:退職後しばらく働かずに休みたい場合、失業手当はどうなりますか?
    A:失業手当は「すぐに働ける状態で、積極的に求職活動をしていること」が前提です。一定期間はあえて求職活動を行わず休養したい場合、その間は「失業」の状態には該当せず、失業手当の支給対象外となります。ただし、定年退職後などで一定期間求職申込みをしないことを希望する場合、所定の手続きにより受給期間(1年間)を延長できる制度もあります(延長後も給付日数が増えるわけではありません)。
  • Q:自己都合退職の場合、失業手当はいつ頃から受け取れますか?
    A:自己都合退職などの場合、原則として求職申込み後に7日間の待期期間があり、その後に一定の給付制限期間(法令改正により原則1か月〜3か月程度)が設けられます。給付制限期間満了後、4週間ごとの失業認定を受けることで、順次失業手当が振込まれます。具体的な開始時期は、離職理由・申請日・法令改正の適用時期によって変わるため、最新の情報をハローワークでご確認ください。

参考・公式リンク

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士) — 本記事は、雇用保険および退職給付制度の一般的な仕組みを前提に、退職後の生活設計を検討するための実務ガイドです。具体的な給付金額・給付日数・受給可否・離職理由区分などは、最終的には所轄ハローワークおよび各事業所の就業規則・退職金規程等による判断が優先されます。最新の制度改正や詳細な取扱いについては、必ず公的機関の情報をご確認ください。

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