自己都合退職は本当に損?失業手当シミュレーターで会社都合との差を可視化してみた

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失業手当シミュレーターで会社都合との差を可視化してみた
自己都合退職は本当に損?失業手当シミュレーターで会社都合との差を可視化してみた

自己都合退職は本当に損?失業手当シミュレーターで会社都合との差を可視化してみた

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士)

まずは“差”を見てみましょう(3分で完了)

失業手当シミュレーターに年収や6か月の賃金を入れるだけで、会社都合と自己都合での受給額・受給開始時期の違いを自動で比較できます。まずは簡易試算→本算定の流れがおすすめです。

この記事のポイント(3分で把握)

  • 自己都合と会社都合で「給付開始の早さ」「所定給付日数」「給付制限の有無」が変わる点を整理します。
  • 2025年以降の給付制限短縮など最近の制度変更を踏まえつつ、シミュレーターでの可視化手順を示します。
  • シミュレーションで「何を入れると差が出やすいか」を実務視点で解説します(労務担当向けチェックリスト付き)。

まず押さえる:自己都合と会社都合の“核となる違い”

簡潔に言うと、会社都合(解雇・雇い止め等)では給付開始が早く、かつ所定給付日数が長くなる傾向があり、自己都合(退職者の意思)では給付開始が遅く・給付日数が短くなる場合が多い、という違いがあります。ここでいう「会社都合」は、雇用保険上の特定受給資格者等に該当するケースが典型であり、実際の所定給付日数は年齢や被保険者期間、離職理由の区分により決定されます。

「待期」「給付制限」の具体的な扱い(最近の改正を含む)

重要な点は「待期期間」と「給付制限」の違いです。待期期間は求職申込み後に設けられる7日間の期間であり、自己都合ではこの7日間の後にさらに給付制限が加わるのが原則です。現行制度では2か月の給付制限ですが、令和7年4月1日以降、原則1か月への短縮が予定されています(詳細な適用条件や経過措置は厚生労働省・ハローワークの最新資料で確認が必要です)。会社都合の場合は基本的に給付制限がかからず、待期(7日)終了後に支給が始まることが多いです。これにより、自己都合だと受給開始が1か月程度遅れるケースが一般的です。

所定給付日数の違い(受給総額に直結)

所定給付日数は年齢と被保険者期間で区分されます。会社都合(特定受給資格者等)は、同じ被保険者期間でもより長い給付日数が適用されることがあり、結果として総受給額が大きく変わります(例:45〜59歳で一定の被保険者期間があれば最大330日など)。一方で、特定受給資格者等に該当しない一般の自己都合退職では、給付日数が短くなることが多いという一般的な傾向があります。制度上の詳細区分はハローワークの所定給付日数表で確認できます。

再就職手当(早期就職時の一時金)の取り扱い

早期に“安定した職業”に就いた場合に支給される再就職手当は、支給残日数に応じて支給率(残日数が所定給付日数の2/3以上なら70%、1/3以上2/3未満なら60%)が適用されます。自己都合・会社都合のいずれでも要件を満たせば支給対象となり得ますが、給付制限中の時期には取得タイミングに注意が必要です。

何が“差”を生むのか — シミュレーションで必ず比較すべき4要素

  1. 受給開始までの遅れ(待期+給付制限) — 収入欠損の期間が長くなります。
  2. 所定給付日数(総日数) — 日額が同じでも総日数差で総額が大きく変化。
  3. 基本手当日額(日額)の上下(直近6か月の賃金計算) — 直近の賃金差が日額に直結します(シミュレーターは直近6か月の入力に対応)。
  4. 再就職手当の該当可否と時期 — 早期就職で一時金が出るか否かで差が出る。

実践:失業手当シミュレーターで「会社都合 vs 自己都合」を可視化する手順

  1. シミュレーターを開く(リンクをクリック)。
  2. 年収または直近6か月の賃金合計・年齢・被保険者期間(在職期間)を入力。
  3. 「離職理由」を【自己都合】【会社都合】で切り替え、受給開始日・所定給付日数・受給総額を比較。
  4. 再就職手当の試算(残日数に応じた一時金)も同画面で確認する。必要ならPDFで出力して従業員説明資料に。
ワンポイント:労務担当者は、離職票の「離職理由」欄が正しく記載されているかを必ずチェックしてください。事業主側の記載が誤っていると本人の受給に重大な影響が出ます。

実例(簡易シミュレーションのイメージ)

ここでは説明用に簡易モデルを示します(概算)。実際は植本シミュレーターに数字を入れて正確な差を出してください。

項目自己都合(例)会社都合(例)
待期+給付制限7日+1か月(令和7/4以降の一般例)7日(給付制限なし)
所定給付日数(例)180日240日
想定基本手当日額¥6,000¥6,000
受給総額(概算)6,000×180=1,080,000円6,000×240=1,440,000円

労務担当者向けチェックリスト(社内説明で必須)

  1. 離職票の離職理由を受給者と会社で確認・合意する(誤記は訂正を依頼)。
  2. 被保険者期間(加入月数)を確認し、所定給付日数を把握する。
  3. 給付制限の適用日(退職日)により、現行制度と令和7年4月以降の改正後とで取扱いが異なる点を説明する(最新の給付制限期間は厚生労働省等の公表資料で確認)。
  4. 再就職手当の要件(残日数・雇用の安定性)について就業先と事前に確認する。

会社都合/自己都合の差を今すぐ可視化する

具体的な数値を入れて比較することで、従業員への説明資料や退職勧奨の対応が格段にやりやすくなります。まずは植本のシミュレーターでお試しください。

FAQ(よくある質問)

  • Q:自己都合でも早く受給したいケースはありますか?
    A:正当な理由(病気・介護等)がある場合は給付制限が免除される可能性があり、ハローワークでの確認が必要です。
  • Q:離職票の離職理由で会社と揉めたら?
    A:従業員は離職票提出時に異議申立てを行うことができ、ハローワークが客観的資料で判断します。誤記は必ず訂正を依頼してください。

参考(公式)

まずは実データで比較して結論を出しましょう

失業手当シミュレーターは労務担当者向けの出力(PDF・比較表)に対応しています。退職説明資料や従業員相談の準備にぜひご活用ください。

監修:植本労務管理事務所(社会保険労務士) — 本記事は制度説明・シミュレーションの手順を示すもので、最終的な給付判定は管轄ハローワークの算定が優先されます。

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